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■定時制は不本意入学が多いのだから全日制に改組すればと思ったらそれほど単純でもなかった

定時制高校は不本意入学が多い。神奈川県の「平成20年度公立中学校卒業予定者の進路希望調査」によると2008年10月1日現在で全日制高校を志願していた者が60,224人、定時制高校を志願していた者は927人、通信制高校を志願していた者は951人となっている。実際の進路を見てみよう。「平成20年度公立中学校等卒業者の進路状況調査」によれば、2009年3月に神奈川県の公立中学校を卒業したもののうち全日制高校への進学者が57,868人、定時制高校への進学者が2,539人、通信制高校への進学者が2,575人となっている。明らかに全日制進学志望者が定時制・通信制に流れている。
東京都では「平成21年度都立高校全日制等志望予定(第1志望)調査」によれば定時制志望は2,769人、通信制志望は221人だ。一方、全日制志望は67,759人である。2009年3月に区市町村立中学校を卒業した者の実際の進路は、全日制高校進学者が65,382人、定時制高校進学者が3,687人、通信制高校進学者が879人である。東京都でも神奈川ほどではないにしろ全日制志望者が定時制・通信制に不本意入学していることが見て取れる。

これほど不本意入学が多いのだから、定時制を全日制に改組すればと単純に思う。かなりの数の者が一旦は全日制を志望したのだから定時制でないと通えない者ばかりでもなさそうだ。

実際、コスト面でも定時制高校が安上がりと言うわけでもない。文部科学省「平成21年度地方教育費調査」(速報)によれば一人当たりの運営費は全国平均で公立全日制に1,157,860円、公立定時制に1,663,219円がかかっている。これによれば定時制はかなりの高コスト体質だ。
ただ、これは定員割れしているから高コストなだけのようだ。埼玉県立浦和高校の運営経費計算書を見ると、定時制課程の一人当たり運営経費は2,306,596円。でも4クラスで55人しか在籍していないのに人員配置は4クラス分ならそりゃあ高くもなるだろう。4クラス分160人が在籍していると仮定して定時制の支出を160で割ってみたら792,892円となる。ちなみに同校全日制の一人当たり運営経費は643,700円なのでそれほど高コストと言うわけでもない。なお、埼玉県立桶川西高校の運営経費計算書によれば埼玉県内の全日制高校の一人当たり運営経費平均は707,001円となっていて、「地方教育費調査」とはずいぶん差があり、単純に地方教育費調査と比較できない点には注意が必要だ。
結局、全日制にしても定時制にしても効率よく定員が埋まればコスト面に差はあまりないということになる。

だったらなおさら定時制を全日制に置き換えるべきだと思ったのだが、そうともいえないのだ。
定時制はご存知の通り何らかの事情によって昼間に通えない者が対象と言うのが基本だ。昼間は働いている者もいる。職場や自宅の近隣に無ければ夜間の通学は困難だ。である以上、定員は度外視して地理的条件を考慮して配置しないと本来の機能は果たせないことになる。つまり、全日制に枠を増やしました、不本意入学者は全日制にどうぞ、定時制はその分廃止しても大丈夫とはならないのだ。このあたり、島しょ部の高校と事情は同じだ。島の高校が定員割れだからと言って隣の島の高校と統合してしまったら機能は果たせない。これと同じことだ。
かといって定時制はそのまま、全日制の枠だけ増やしますとなったら財政支出は増加するうえに公私比率をゆがめ、民業圧迫になる。ここでも私立校の多さが障害となっているのだ。
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ブログ名変えた(2011.4.24)。落ち着かないなあ。

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