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■児童ポルノ「検挙件数過去最多」というニュースに踊らされる前に

先日(2010.2.18)、警察庁より「少年非行等の概要(平成21年1~12月)」という資料が発表された。この資料には児童ポルノ事件の送致件数が掲載されている。この資料によれば児童ポルノ事件で935件、650人が送致され、被害児童は411人、いずれも過去最多とのことである(18頁)。

このことについてさも事態が悪化したかのように煽るメディアもあるが(一例…毎日新聞)、果たして本当に事態が悪化したといえるのだろうか。

そもそも、これらの数値は警察が検挙した数を示すものであり、児童ポルノの実数を示すものではない。警察が認知し、被疑者特定にまで至ったものの数である。つまりはこういうことだ。通報が励行されたり、警察が積極的に児童ポルノ情報の収集に努めたり、警察が捜査体制を充実させたり、捜査手法を向上させたりすれば実数の増減にかかわらず検挙件数は増加する。その逆もありうる。通報が励行されなかったり警察が児童ポルノ情報の収集に消極的だったり、警察の捜査体制が不十分だったり捜査手法が未熟なままだったりすれば実数の増減にかかわらず検挙件数は減少する。このあたりは「昭和35年版犯罪白書」も参照されたし。もしかしたら、「検挙件数の増加」はこれまでならば検挙できなかった事案も検挙できるようになったということを示し、喜ばしいことである可能性すらあるのだ。

もちろん可能性は可能性。確たることを言うにはデータが必要だ。しかし、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律には調査研究を推進するようにとの定めが置かれているのだが、我が国には警察の業務統計以外のデータがない。「児童ポルノを単に持つことも法律で規制することについてどう思いますか。この中 から1つだけお答えください」なんて問う世論調査を行う暇がある内閣府あたりが児童ポルノの被写体になったことがあるかどうかの調査をやってくれるのが一番いいのだが、どうやらそういう調査を行う気はない様子。これじゃあ本気で児童を保護する気があるのか疑わしく思えてくる。

まったくの余談だが、「少年非行等の概要(平成21年1~12月)」には少年の刑法犯被害が9年連続して減少したというデータもあるのだが、なぜかこっちには見向きもされない。もっともこれも業務統計のデータだからあてにはできにくいのだが。
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テーマ:児童買春・児童ポルノ処罰法 - ジャンル:政治・経済

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