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■生活保護の要件に、持ち家を必ず売却することは含まれません

 生活保護の支給停止を取り消す 春日部市が敗訴/さいたま地裁 (埼玉新聞) - Yahoo!ニュースのコメント欄が、またひどい。「持ち家があるのに何で生活保護を受けるんだ」の大合唱である。
 そもそもだね、持ち家を必ずしも売却しなければならないわけではない。生活保護法は次のように定めている。

(保護の補足性)
第四条  保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
2  民法 (明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
3  前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。

 「最低限度の生活の維持のために活用すること」が要件である。この場合、あるものを売却して得た資金を日々の生活費に充てることだけが活用ではない。特に居住用の不動産については、そのまま居住し続けることも立派な「活用」だ。厚生次官通知である生活保護法による保護の実施要領について(昭和36年4月1日厚生省発社第123号各都道府県知事・各指定都市長あて厚生事務次官通知)は、資産の保有について次のように述べている。

第3 資産の活用
最低生活の内容としてその所有又は利用を容認するに適しない資産は、次の場合を除き、原則として処分のうえ、最低限度の生活の維持のために活用させること。
なお、資産の活用は売却を原則とするが、これにより難いときは当該資産の貸与によって収益をあげる等活用の方法を考慮すること。
1 その資産が現実に最低限度の生活維持のために活用されており、かつ、処分するよりも保有している方が生活維持及び自立の助長に実効があがっているもの
2 現在活用されてはいないが、近い将来において活用されることがほぼ確実であって、かつ、処分するよりも保有している方が生活維持に実効があがると認められるもの
3 処分することができないか、又は著しく困難なもの
4 売却代金よりも売却に要する経費が高いもの
5 社会通念上処分させることを適当としないもの

 もちろん、適当な住宅を利用することは、むしろ健康で文化的な最低限度の生活を営む上で必須であるわけで、現に居住して利用することによって、最低限度の生活維持のために活用しているものと認めるのは当然のことだ。実際、局長通知でも、利用価値よりも処分価値のほうが著しく上回るときこそ売却して処分せよとしているが、現に居住している家屋についてはその保有を認めなさいとしている。当然のことだ。

 そして、忘れてはならないのは、もし仮に持ち家を手放したところで、結局家賃として住宅扶助を出すのだ。持ち家の保有を認めるのと賃貸に転居させて住宅扶助を出すのとでは、どちらが財政負担が大きいのか、そういうことも考えると、持ち家があるのなら、それを売却せず保有して利用することこそが「最低限度の生活の維持のために活用すること」であると言える。

 なお、公営住宅に転居せよとする意見も見られたのでこれについても触れておく。そもそも公営住宅は持ち家がある者は入居できない。また、公営住宅はほとんどが抽選なので、抽選に当たらなければいくら低所得でも入居できない。このことを考えれば、公営住宅はなかなか選択肢にはなりにくいと言える。
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テーマ:生活保護 - ジャンル:政治・経済

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