ヘッドライン

■【メモ】遺族年金・性別による区別は正当か

 地方公務員が亡くなった際に、遺族に支給される遺族補償年金を妻に支給するときは年齢制限がないが夫に支給するときは年齢制限があることを違憲として地方公務員災害補償基金を相手取って起こされていた訴訟の控訴審判決が6月19日、大阪高裁であった。判決は、夫に対する年齢制限は憲法違反ではないとするものだった。この訴訟を受けて日本共産党の高橋千鶴子衆院議員が衆議院で質問をするなど、それなりに波紋があった。この問題に関して私が考えたことをメモ書き形式で書いておく。

1.収入が減った「穴」を埋めるのが年金
 年金とは、何らかのアクシデントで「稼ぐ力」が減った「穴」を埋めるもの。→老齢・障害・死別の三つ。
老齢…年をとって、若いときのように仕事ができなくなったために稼ぐ力が減った「穴」を埋める
障害…障碍によって、仕事をするのにハンディがあるために稼ぐ力が少ない「穴」を埋める
遺族…稼ぎ手が死亡して、稼ぎ手が得ていた所得を失った「穴」を埋める

 基本的に、これらの「穴」は、年金をもらう人がいくら稼いでいたとしても消えることはない。遺族年金で言えば、遺族がいくら働いて稼いでいても、そもそも夫/妻が死ななければ彼/女が稼いでいた分もあわせて収入になっていた。いざと言うとき「穴」を埋める約束で保険料をもらってて、「穴」が残っているので、所得制限にはなじまない。これは老齢も障害も同じ。

〔所得制限がある変り種二種+一種〕
その1 在職老齢年金
 60を過ぎて働いている人は、その給料に応じて年金が減る。ものの見事な所得制限。ただ、これも次のように整理できる。
 働いて給与を得ている→「稼ぐ力」の「穴」が小さいため、それに応じて年金額を減らしている。現に、資産所得など不労所得は問われない(「稼ぐ力」の穴には関係ないから)
・結局「穴」の大きさによって年金額を決めているだけ

その2 20歳前初診日の障害基礎年金
 こちらは本物の所得制限が。ただし、これは保険料を一切納付せずに受けられるものなので、所得制限がある→保険料の対価ではないから

+1 精神障碍による障害年金
 働き始めると年金が止められたりするが、これも働けるようになったら「稼ぐ力」の穴が小さくなったり、なくなったと判断されるため
・これも結局「穴」の大きさで年金を出すか出さないかを決めている

2.妻には遺族年金を出し、夫には遺族年金を出さないことを正当化する理由
・そもそもかつては夫が主な働き手、妻は従たる働き手という観念が
・なので、従たる働き手である妻が死亡しても、埋めるべき「穴」はないと判断された
・妻の稼ぎを頼りにして暮らす男性はまずいないか、妻の稼ぎを頼りにして暮らす男性は好ましくないと判断されたため「【穴】は存在しない!」
・一方、夫の稼ぎを頼りにして暮らす女性はごく一般的と判断
→いずれも、制度制定当時は合理性はあったろうが、夫婦共働きモデルが一般的になった今となってはこれらの論理も古びた感が否めない

3.現代にマッチした遺族年金給付要件は
以上二項を踏まえ
・夫/妻の死亡で所得を得る力に「穴」が開いたかどうかによって判断すべし(これは今も昔も変わらない)
→昔は妻を亡くした夫には開かず、夫を亡くした妻には開くと判断されていたが、これはそぐわない
・具体的には男女問わず生計を一にしていたかどうかで判断すべし
→生計を一にしていた夫/妻が死亡したら、当然所得を得る力に穴が開く。働いていた人間がひとり減るんだから。この穴を埋めるべく年金を出す
・何を持って生計を一にしていたと判断するかは要検討

なお、この際、夫/妻を他の遺族に比べ特別視すべきか
・夫婦間、また両親は未成熟の子に対して「一枚のパンをも分け合うべし」とまで例えられる「生活保持義務関係」が存在
・通常の親子兄弟間の扶養義務よりも格段に強い扶養義務関係
・このような関係が存在するのであるから、遺族年金に関しても夫/妻は特別に扱う合理性はある(夫/妻の稼ぎを頼りにして暮らすのは当然のこと、それが不慮の事故で失われたら、年金で埋めるべき「穴」は開いたと言える。)
スポンサーサイト

テーマ:社会保障 - ジャンル:政治・経済

プロフィール

資料屋

Author:資料屋
ブログ名変えた(2011.4.24)。落ち着かないなあ。

月別アーカイブ

FC2カウンター

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム