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■「外国人は納税できるうちは日本にいていいが保護が必要なら母国に帰れ」という主張は不公正であり、実際に運営したら持続不可能

 外国人の社会保障についてよく「保護責任は国籍国にあるのだから国籍国に帰って保護してもらえ、日本は保護する必要がない」という意見が見られる。ちょっと考えてみるとわかるんだが、この主張というのは要は日本で働く外国籍の者から税金を取るときはしっかり取るがいざサービスが必要になったら国籍国に送り返すべきというものである。サービスも提供しなくていいのに税金だけはもらえるのだから確かに日本にとっては非常にありがたい話である。だが、これを逆の立場にしてみると恐ろしく割の合わない話になる。税収だけを他国に取られ、サービスだけを提供しなければならないのだから。日本でいえば税金だけは他国に納めるがサービスは日本から受けるということになる。これを正当化するツイートを以下に紹介する。


 義務は果たすべきだから税収がなくても保護はすべきだという考え方だ。なるほどご立派な考えである。そして実際に運営してみたら到底持続不可能な考え方である。前回の記事で私は社会保障制度は大数の法則の応用だと記した。アクシデントに遭うか遭わないかわからない人々が寄り集まってアクシデントに遭った人に給付をする。個人単位で見たらアクシデントに遭うか遭わないかはわからないが100万人、1000万人と集まれば全体でどれくらいの割合でアクシデントに遭う人が出てくるかがわかる、そうしたら必要な金額もわかる、そうしたら一人ひとりが拠出するべき金額もわかり、はるかに確実な備えができる。先ほどの外国人の保護は母国でというのは税を拠出できる人だけを集団に残し、給付が必要になった人は他の集団に移してそこで給付を受けろというものである。これを逆の立場から見たら給付が必要な人ばかりが集団に集まってくるというものだ。これでは大数の法則は成り立たず、社会保障制度は崩壊する。拠出できる人だけを集めて集団を作り、アクシデントに遭った人を他所の集団に移すのは明らかに不公平でもある。保険の世界で言うところの「逆選択」である。言わば定期生命保険の保険期間中に死亡しなかった人が保険加入時にさかのぼって保険加入を取り消すようなものである。こうたとえるとご理解いただけるだろう。
 余談だが、このような現象は日本国内でも市町村国保とその他の公的医療保険制度の関係で見られる。健康で働いていて収入が十分にある病気のリスクが低い人たちは健康保険などの被用者保険に、あるいは自営業者が業界で作る国民健康保険組合に加入し、そうではなく働いていない、働けない、病気のリスクが高い人たち(老人も含まれる)は市町村国保に加入する。結果として市町村国保の運営は限界をとっくに超えていて、一般会計からの繰入金で何とかしのいでいる現状である。

 結局のところ外国人が社会保障給付を必要とするようになったら母国に帰れ、母国が社会保障給付をするのは義務なんだ、しかし税金だけはしっかり徴収するというのは不公正そのものでしかないのだ。
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テーマ:社会保障 - ジャンル:政治・経済

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ブログ名変えた(2011.4.24)。落ち着かないなあ。

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