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■抗がん剤もない時代、内科的がん治療だけでどれだけ長く生きられたか→現代よりは短かった

要約
 胃がんに対しては抗がん剤も放射線も手術も何もしないのと現代の治療を行うのとを比べたら現代の治療を行う方が生存年数は長くなる

本文
 某掲示板で近藤誠信奉者から「抗がん剤や放射線治療、手術をしたときとそれらのことをまったくしなかったときの治療成績を教えてよ、そうじゃないと標準治療は使えないよ」としつこく粘着されたので調べてみた。近年ではさすがに標準治療を行わないなんてことは不可能なので、現代の標準治療法のほとんどが存在しない戦前の論文を調べた。そうして見つかったのが1928年の論文である「胃癌ニ関スル統計的觀察」(中田秀、金澤醫科大學十全會雜誌33巻5号)である。この論文は金沢医科大学泉外科教室で治療を行った胃がん患者に関する統計を取りまとめたものだ。
 さて、この論文によると内科的治療のみを行った39人の最短生存月数は2ヶ月、最長で20ヶ月であった。1928年当時は現在使われる抗がん剤も存在しなかったから現代の基準からすれば何もしなかった場合の成績とほぼ同義と考えられる。一方、全国がん(成人病)センター協議会加盟施設にて2001年から2003年までの間に治療を開始した胃がん患者のうちもっとも進んだステージ4の患者の5年生存率は7.5%あった。近年の治療をもってすればもっとも進んだ胃がん患者でも7.5%は5年間の生存ができるのに対して1928年当時(実際にはそれよりも前)の内科的治療―すなわち何もしない―では20ヶ月の生存しか得られなかったのである。現代の治療の優位性は明らかだろう。

おまけ
 ここからはどうやって調べたかを述べておくことにする。最初はがんの治療成績をコクラン・ライブラリで調べていたが、治療を何もしないときの成績を出せといわれたので行き詰まる。何の治療もしなかったときの成績など当然だがどこにもなかったからだ。
 ふと、現代的な治療方法がなかった戦前なら治療をしなかった場合の成績データがあるのではないかと思いつき、まずは国立国会図書館デジタル化資料で医学中央雑誌の戦前のものを見ようと考えた。だが、国会図書館デジタル化資料の医学中央雑誌、論題ごとの索引がまったくないのだ。これでは使えない。次いで国立国会図書館サーチで出版年を1945年以前、検索語を「癌」としてデジタル化資料を検索する。そこでヒットしてきた「癌の早期診断及治療学」(角田隆、南江堂書店刊、1920年)を見てみるも具体的な治療成績は掲載なし。最後にci.niiで検索語を「癌」とし、論文を検索。そこでヒットした論文をいくつか見て検索語を「癌 統計」としてふたたび検索。これで出てきたのが今回の論文である。
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ブログ名変えた(2011.4.24)。落ち着かないなあ。

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