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■生活保護で受けられる医療は健康保険の範囲より若干狭い、また生活扶助で医療費自己負担させるのならば生活扶助の定義を変える必要がある

 昨日の続き。そもそも生活保護で受けられる医療の方針、及び報酬は国民健康保険とほとんど同じである。このことは生活保護法第52条にはっきりと書いてある。以下引用。

(診療方針及び診療報酬)
第五十二条  指定医療機関の診療方針及び診療報酬は、国民健康保険の診療方針及び診療報酬の例による。
2  前項に規定する診療方針及び診療報酬によることのできないとき、及びこれによることを適当としないときの診療方針及び診療報酬は、厚生労働大臣の定めるところによる。

ちなみにこの二つが同じということは生活保護でカバーされる医療は国民健康保険の範囲と同じということである。そして国民健康保険の診療方針・診療報酬は健康保険のものと同一となっており、結局のところ生活保護における医療は健康保険と同一のものということである。従って、生活保護でできる医療はすべて健康保険でもできる。
 なお、先に挙げた生活保護法第52条第2項が定めるところの生活保護独自の診療方針は「生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬」(昭和三十四年厚生省告示第125号)という文書にまとまっているが、これに書いてあるのは保険外併用療養費(差額ベッドや高度先進医療)はしない、虫歯のかぶせ物や詰め物に金は使わないといったものであり、いずれも健康保険で認められた範囲を狭めるものであるから先ほどの結論は変わらない。

 生活保護で医療を受ければ自己負担がないからその分医療は受けやすい、不公平だ、生活保護受給者にも自己負担させろという声もある。しかし、これはロジック的におかしなことになる。生活保護法の関係条文をいかに引用するからとりあえずこれを軽く読んで欲しい。詳しくはあとで説明する。

 (基準及び程度の原則)
第八条  保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。
2  前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。

 (生活扶助)
第十二条  生活扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
一  衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの
二  移送

 (医療扶助)
第十五条  医療扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
一  診察
二  薬剤又は治療材料
三  医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
四  居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五  病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
六  移送

 さて、これらの条文によれば生活扶助の範囲は「衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの」「移送」について「最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえない」範囲でなされるものである。そして診察などは医療扶助として別個にカバーすることになっている。そう、生活扶助費には診察などの費用は含まれていないのだ。対象となっていない費用を支出するのは目的外使用。生活扶助費で海外旅行に行ったりするのと性質としては同様のことである。
 このことが端的に現れるのは入院患者の場合だろう。一ヶ月以上の入院をすれば一般の生活扶助は打ち切り。入院患者日用品費として23,150円以内が支給されるのみとなる。入院してしまえば食費もかからなくなるので生活扶助の需要は日用品を除いてなくなる、だから日用品費を支出するの他は生活扶助を支給しないということだ。これを見れば生活扶助はあくまでも日常生活費の需要に対応したものであることがお分かりいただけるだろう。
 そして、あくまでも日常生活費の需要に対応したものでしかない生活扶助から医療費自己負担を支出させるのはロジックとして間違いであることもお分かりいただけると思う。現実的な問題として入院患者日用品費からどうやって入院費自己負担を払わせるというのだろうか。
 さて、理念はわかった、でも現実は医療費を負担できるだけの額になっているとお考えになる方もいらっしゃることだろう。だがその場合になすべきなのは生活扶助の減額であって医療費の自己負担ではない。医療費を負担できるほどの生活扶助はすでに衣食その他日常生活の需要を満たす以上の額となっているのだから扶助費の減額というのがロジックから導かれる結論である。外来治療を受けている人間の日常生活需要が少なくそうでない人間の日常生活需要が多いということはないのだから。
 それでも現行法など改正して生活扶助から医療費を負担させたいとお考えの方もいらっしゃることと思う。法律は不磨の大典ではないから必要とあらば改正するのは当然である。生活扶助費から医療費一部負担を求めるとしたらどのような法改正が必要か、私見を述べる。生活扶助から医療費一部負担を求めることの障害となっているのが日常生活の需要を満たすのに十分かつこれを超えないようにという規定であるから、これを改正すればいいのだ。例えば一般家庭の消費支出の69%の額の現金を保障するという規定に変えることが考えられる(実際に現行生活扶助基準は一般家庭の消費支出の7割弱というのが目安になっている)。こうすれば日常生活の需要という枠は外れるから、医療費自己負担を求めることができるようになる。しかし、その場合、生活扶助費の使い道に制約を加えることは一切不可能となる。日常生活の需要という枠が外れるのだからこれは当然の帰結である。果たして、あなたは生活扶助費を全額パチンコに費やすことを承服できるだろうか?改革というのは難しいものなのだ。
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テーマ:生活保護 - ジャンル:政治・経済

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