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■生活保護見直し、部会委員が一言も発していない扶養義務者への説明責任の徹底が部会の議論のとりまとめとして出てきた

 昨日(2012年9月28日)の社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会に「「生活支援戦略」に関する主な論点(案)」(PDFファイル)が厚生労働省側から提示された。今日の朝刊で報じられた生活保護制度の見直し案はこのことである。さて、この資料には冒頭に次のような記述がある。

本資料は、生活支援戦略に関する議論を進めるため、事務局において、現状や先進事例、これまでの部会等における主な議論を踏まえ、具体的な制度改革等の検討を行う際の参考として作成したもの(案)である。

 と、部会等における主な議論を踏まえて作成されたとしている。この資料を繰っていくと「不正・不適正受給対策の強化等」というセクションに生活保護と扶養義務について次のように記している。

(2)扶養義務の適切な履行の確保
○ 扶養義務者に対する福祉事務所への説明責務
・本当に生活保護が必要な人が受けることができなくならないように留意しつつ、福祉事務所が必要と認めた場合(※)には、扶養が困難と回答した扶養義務者は、扶養が困難な理由を説明しなければならないこととする。
(1(1)の調査・指導権限の強化等の中で検討。)
※ 本制度見直しの趣旨は、扶養が保護の要件ではないものの国民の生活保護制度そのものに対する不信を招きかねないようなケースについて現行制度では福祉事務所に対応する手段が必ずしも十分でないことに鑑み、実際は限定的になると思われるが明らかに扶養することが可能と考えられる等特段に対応が必要と思われるケースについては対応することを基本的考え方とする。

 さて、特別部会の議事録を繰ってみよう。「扶養」をキーコードに検索した。まず最初に出てきたのは第3回、広田和子委員(精神医療サバイバー)の次の発言である(抜粋)

ある人はお金を、ぶっちゃけた話、なぜ吉本興業の河本準一さんは何で大騒ぎになっているのかなと思うんですよ。あれは民主党と自民党の闘いにしてほしくない。政争にしていただきたくないんですけれども、お母さんが御本人がお金がない時代に生活保護制度を使っていた。お金は今あるらしいです。年収5,000万。でも、柏木さんは11万で生活なさっているでしょう。私もそれより低いですけれども、そういうふうないわゆる私たち庶民の生活の5,000万といったら一生残りますよ。でも、ああいう人というのは、飲みに行けば。私みたいに、「ちょっと山崎さん、ご飯、一緒に」といったとき、山崎さんは私にごちそうしますよね。津田さんもね。どう考えたって。ところが、ああいう方だったら、やはりその辺にいる人にごちそうするわけですよ。そういう観念が違う人の話を盛んにするんだけれども、私はもう吉本興業さんの広報だったら、むしろああいう方がたくさんいるとしたら、厚生労働省の保護課長の古川さんに言って、すぐに厚生労働省保護課からお金が出ていたと。あと、いわゆる地方自治体から4分の1出ているわけだから、両方にそういうふうな口座を出してくださいと。そこにもらった以上の何倍かの寄付をさせていただきたいという形で、何でもかんでも家族は生活保護にさせないで扶養義務だとか、ある一部の新聞に出ていました。扶養義務の預金通帳まで洗い出すとか言っているんですが、そうではなくて。

 扶養義務という形ではなく寄付という形でという趣旨のようだがともあれ扶養義務者に説明させようという話は出てこない。次は第4回、熊木生活困窮者自立支援室長、事務局側の発言であるからこれは省略。その後に再び広田委員が次のような発言をしている。

 今日は、厚生労働省から局長も、それからこちらからお見かけしたところ、タレントさんみたいな副大臣もお見えになっているけれど、本当に美しいオレンジ色で、雨が降っていますから映えていいですね。
 とにかく、この国のマスコミは、今、言ったようにパパラッチみたいですから、それに揺れないで、民主党は大風呂敷を広げて母子加算をつけてみたり、一方、自民党は生活保護に関して扶養義務者の資産を調査すると、大揺れですから、だれもが生活保護になったりする可能性もあるということを考えて、振り返ったときも、あのときはすばらしい会議だったと私たちが言われるように、普遍性、一貫性を持って論議していきたい。

 やっぱり扶養義務者に説明責任をという話ではない。その次が山村睦委員(日本社会福祉士会)の第5回での発言。これも抜粋する。

…我々はまず第1番に自立支援機能に着目をして、その上で生活保護の本来、それから、あるべきところを堅持しつつ考えていく必要があるのかなと思っております。支給要件に余りに偏っていきますと、本当に生活保護を受給される方の権利がどこまで守られることになるのか、大変懸念する部分があるだろうと思います。しかしながら、不正受給は根絶しなければならないし、不正受給の抑止と支給要件の強化は分けて考えていただくことによって整理されるのだろうと思います。ただ、扶養義務者の扶養能力の調査は大変なマンパワーが必要だろう。それを今後どういうふうにだれがどこで担うのかということも大きな課題ではないかなと思います。いずれにしても早期発見と早期支援、そして早期の生活保護からの脱却を推進する、それは扶養能力の調査・強化というよりも、まず最初に自立支援機能の強化をされた方が推進の早道になるのかなと思います。

 同じ回で広田委員も発言をしている。

 扶養義務の話ですけれど、私の母校は美空ひばりさんが小学校の先輩で、ゆずが中学の後輩。高校の同期生が民主党副幹事長の斉藤君。何が言いたいかというと、美空ひばりさんのきょうだいとして生きたために弟さんたちは大変だった、なかにし礼さんはお兄さんのことで大変だった、私の仲間で精神障害者同士結婚して、生活保護です。お兄さんは一流企業の部長。そこへ福祉事務所が手紙を出した。援助しない。そうしましたら福祉事務所が一流企業の会社へ電話をしたら「縁を切る」と言われたのです。その後お嫁さんが亡くなった、知らせたのです。「縁を切ったのに何で知らせてきたんだ」ということで、お嫁さんが亡くなったというショックと、もう一度縁を切られたというショックで立ち直れないほどの衝撃を受けた。自殺まではいかなかったけれども、これを扶養義務の話に持っていってしまったら、明治の憲法になってしまうわけですよ。ですからそこは本当に何党が政権の時代であろうと、きっちり考えて、国家は国の家ですから、困っている人は社会が見る。そして、この前も言ったけれど、吉本興業の話、その分援助していますから是非生活保護課に社会貢献をしてくださいという、いわゆる振込先を送るくらいの形で、もっと日本国民が欧米のように社会貢献しなければ、ただ単に家族主義に頼っていく時代に逆行していくのは家族関係を不幸にするということです。本人の一斉調査もあなたを信頼していないよということだから、そこは本当に何党の何々様がおっしゃっても慎重になさっていただきたい。このことはまた後日にゆっくりですね。
 それと長谷川さんの個人情報が行き過ぎるのは私も反対です。だけれど、うちの町内会がすごくいいやり方をやっているし、私も孤立死対策をやっていますから、それはまたいつか折を見てということで、終わらせていただきます。

 どちらも、説明責任の強化どころか扶養義務の徹底には反対もしくは消極的な発言である。で、この次の回、第6回では藤田孝典委員(NPO法人ほっとプラス代表理事)は扶養義務を記載した資料について次のような疑問を発している。

これは親族扶養の強化ということで掲げられると思うのですが、これは今も生活保護法の77条で、親族扶養で扶養できる際には扶養してあげてくださいという内容で出されているのですが、これは、私の視点では、改めて生活保護法77条の確認だという認識をしているのですが、この範囲内で考えていいのかどうか。逆に言えば、それ以外であれば、通知やマニュアル等を新たにつくることも検討されているのかということが3点目です。

 これに対して事務局の回答もあるがこれは割愛。

 特別部会の議事録を扶養で検索してヒットした委員の発言は以上5件である。いったいこれらのどこに扶養義務者に説明責任を果たしてもらうべしという発言があったのだろうか?「これまでの部会等における主な議論を踏まえ」としているが生活支援戦略に関する主な論点(案)に記載している扶養義務者への説明責任の徹底は事務局が勝手に入れたものではないのか。
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テーマ:生活保護 - ジャンル:政治・経済

■コメント

■今回の資料屋さんの示された疑問点。 [春田の蛙]

事実であれば、これは本当の意味でネットジャーナリズムの勝利というべきスクープの一つですね。
まずこれを調べてみようと思われた資料屋さんの着眼点に敬服します。

■単なる勘です(キッパリ [資料屋]

>春田の蛙さん
私、この特別部会には少しばかり注目していたんですよ。委員の顔ぶれがまず違うと。岩田正美さんとか駒村康平さんはまあおなじみのメンバーですが(しかし扶養強化とかを言い出す方ではない)、さらに宮本みち子さんだとか藤田孝典さんだとか広田和子さんだとかそういう方も委員として参加していらっしゃるんですよ。みんな扶養強化とか言い出す人ではない。
まあ大阪府知事の松井一郎さんは言い出すかもしれませんがね。そんなわけだからじゃあどこから出てきたんだ扶養強化はと、そう思ったから調べてみました。少しでも社会保障関係の学者をウォッチしていた人は同じことを思ったんじゃあないかなと。事実、委員の藤田孝典氏なんかは扶養強化に反対の意見を毎日新聞に寄せていますし。
ちょっと検索すればわかることをメディアは少しも報じない、多分暇じゃあないからでしょうね。論点いちいち検索していられないでしょうし。だからできることをできる人がやるって言うのが重要なんでしょうね。
それにしても官僚もえげつないことしてくるなあ。
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ブログ名変えた(2011.4.24)。落ち着かないなあ。

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