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■警察統計の限界

ここまで、児童ポルノ関連の現象(の一部分)について警察統計の数値を示してきた。
ただ、警察統計はあくまでも警察活動の記録に過ぎないのであって、警察活動の対象にならなかった犯罪行為(一般に暗数といわれるものですね)については統計上の数値として計上されない。
ここに弱点があって、警察の方針や関係者の意識が統計上の数値に影響を与えることは免れない。以下、具体的に見る。

1.実際に児童ポルノ犯罪が行われても警察が認知しなければ警察統計上の数値として計上されない。警察が積極的に児童ポルノ犯罪を探し出す方針をとれば実際の数に関わらず警察統計上の数値が増えるということでもある。その逆に警察が消極的な態度しか示さなければ実勢に関わらず警察統計上の数値もまた減る。
また、関係者からの届け出というのもあまり期待できない。「援助交際」の際に撮影されたなんてケースでは児童当人に被害者という意識は無いだろうし、社会通念としてもこういう児童を被害者としては見ていない。
公明党の丸谷佳織議員の出会い系サイト規制法の審議過程での「本当に、普通の子供だとみずから言うような子供たちがこういう書き込みをしている現状を見ますと、果たして、みずからの意思でお金を稼ぐ方法としてネット上で売春をしている、あるいは買春の勧誘をする、この状況を、誘いに乗る大人あるいは同じ世代の買う方だけが悪いのかなという疑問が私には残ります。そういった意味において、児童の処罰ということもある程度仕方がないのではないかというような思いがするわけなんですけれども」〈平成15年5月13日衆院青少年問題に関する特別委員会〉との発言はこういう社会通念を代表するものであろう。日本ユニセフ協会が聞いたら多分仰天するだろうが(なお、全くの余談ながら私も仰天しました。おいおい、児童は被害者ではなかったのかよ、と)。

2.そして、児童ポルノ事案の場合、警察に認知されても被疑者を特定し、検察庁へ送致しなければ警察統計上の数値として計上されない。
こちらが警察の活動方針や警察力の影響を強く受けるのはもはや論を待たないだろう。

以上、ここまでの説明で警察統計における数値というのは警察の活動の影響を強く受け、実際の数値を必ずしも反映しないものであることはお分かりいただけると思う。
昭和35年版 犯罪白書 第一編/第一章/一/1 犯罪統計とその意義も参照されたし。

そこで実勢を知るためには世論調査のような手法でアンケート調査を行うのが一番確実になる。
代表的な犯罪については16歳以上の男女を対象に法務省法務総合研究所が犯罪被害実態調査というものを行っているが、児童ポルノ事犯におけるこういう調査は寡聞にして聞かない。
児童ポルノ事犯においてもこの種の調査の実施を強く望みたい。

なお、性被害については日本性教育協会が全国の中学生、高校生、専門学校生及び大学生を対象に1974年から行っている「青少年の性行動全国調査」の調査項目となっている。もっとも性被害が調査項目となったのは1993年調査からではあるが。
せっかくなのでこの調査の結果について軽く触れておこう。児童ポルノの存在が児童への性犯罪に影響を与えているという説もあるので。
全般的に見て中高生女子の性被害は1999年調査において1993年調査よりも増加したものの、2005年調査では1993年調査よりも減少している。ただし高校生女子の「性的誘惑」については1999年調査よりも減少はしているものの1993年調査よりは増えている。
また、中学生女子の「痴漢被害」「性的強要」は1993年調査から減少の一途をたどっている。
男子について見ると、中高生の「身体をじろじろ見られた」「痴漢被害」1993年調査から減少の一途、「露出行為被害」は1999年調査で増加したものの2005年調査では1993年調査よりも減少。
中高生男子の「言葉による性的からかい」「性的誘惑」「性的行為の強要」の被害率については2005年調査で1993年調査よりも高い値を示しているが1999年調査よりは減少となっている(下表参照)。
性被害経験の推移(%)
中学高校
93年99年05年93年99年05年
男子身体をじろじろ見られた8.17.24.07.86.44.1
言葉による性的からかい12.220.619.113.120.412.2
痴漢被害3.61.71.44.22.51.9
露出行為被害5.28.71.75.48.64.8
性的誘惑3.26.14.56.010.39.0
性的行為の強要1.21.51.31.11.71.2
女子身体をじろじろ見られた24.024.217.735.437.923.5
言葉による性的からかい22.326.218.134.636.320.4
痴漢被害16.614.39.127.630.416.3
露出行為被害11.915.89.724.828.721.5
性的誘惑8.38.67.58.424.816.7
性的行為の強要5.13.62.65.67.94.9

日本性教育協会編「『若者の性』白書 第6回 青少年の性行動全国調査報告」(小学館刊)123ページより引用(なお、引用元には大学生の数値も同じ表に表章されていたが、省略した)。

同書210ページには2005年調査の詳細な集計結果が掲載されている。
注目すべきは「誰からされたか」という集計結果だ。性的行為の強要に限って触れるが、一番多いのは「友人など」。
これは男女とも、中学生と高校生いずれも同じ結果である。知らない人からというのは少ない。
家族や親戚からの被害もまた少ない。教員からの被害は極めて少ない。ただし、高校生男子では多くなっている。
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テーマ:児童買春・児童ポルノ処罰法 - ジャンル:政治・経済

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