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■栃木県日光市で自家用車(含むオートバイ)を使わない通勤はどれくらい現実的だったのか〔追記;障害の定義が狭いのでは〕

 栃木県鹿沼市でてんかん持ちの運転手が交通事故を起こし、児童6人を死亡させた事故に関して「そもそも運転しなければよかったんだよ」という意見が時たま見られる。今回はこの事故を起こした運転手の住んでいた栃木県日光市で自動車(オートバイ含む。)を使わない通勤がどの程度現実的だったのか検証してみる。

1.日光市の自動車世帯普及率は100%
 総務省統計局の「平成21年全国消費実態調査」の栃木県内の結果にある「地域別1000世帯当たり主要耐久消費財の所有数量及び普及率」という表によれば栃木県日光市の自動車世帯普及率は100%である。標本調査であるからある程度の誤差は見込むにしても日光市では自動車抜きの生活というのはまずありえないことがわかる。なおこの調査によれば交通が発達した東京23区の自動車世帯普及率は53.0%である(東京都結果表)。交通が発達していればちゃんと自動車普及率も低くなっていることが読み取れる。

2.日光市で実際に通勤に自動車を使っている人はどれくらい?
 そこで次の検証になる。実際に日光市で通勤というものをしている人のうちどれくらいが自家用車を使用しているかである。そんなデータあるのかいなと思われるかもしれないがあるのだ。「国勢調査」に。ただし10年に一度の大規模調査年にしか調査されない項目なので今使用できる最新のデータは2000年調査のものである。
 さて、2000年国勢調査によれば自宅外に通勤している15歳以上の日光市民は7,161人、自宅外に通学する15歳以上の日光市民は761人、両者合わせて7,922人である。一方、交通手段についてだが(交通手段のデータは通勤者・通学者の区別がされていない)、日光市民のうち自家用車・オートバイのみ、あるいは自家用車・オートバイと他の手段を組み合わせて通勤通学している者は5,197人、「その他交通手段が2種類」「利用交通手段が3種類以上」に分類されて自家用車等の使用の有無がわからない者が172人である。自宅外に通勤・通学する7,922人のうち自家用車やオートバイを使っている者は5,197人、自家用車やオートバイを使わず通勤・通学する者は2,725人である。この数字だけ見れば確かに自家用車抜きで通勤できなくもないような気もする。ただし、このなかには徒歩のみ通勤・通学者1,268人が含まれる。自家用車等を使わない者のかなりの部分が徒歩で通勤・通学していることになる。徒歩ではなく、かつ自家用車も使わずに通勤・通学している者は1,457人。徒歩圏内で仕事が見つからなければちょっと自家用車抜きの通勤は厳しいんじゃないだろうかというのが結論である。なお、ここに示したデータは全て平成12年国勢調査の「従業地・通学地集計その1」の栃木県の報告書掲載表に掲載されているものである。

〔追記 障害の定義が狭いのでは〕
 今回の運転手の場合、運転さえしなければ仕事には問題なさそうだ。薬さえ飲めば発作が抑えられる。薬を飲み忘れたときのことを考えれば運転はしない方がいいというだけである。だから現行の日本の定義では障害には該当しないのだが、これは実情に合っているのだろうか。日光市はまだマシな方ではあるが車がないとどこにもいけないという地域は多い。そんな地域で運転できなければほとんど社会参加は不可能である。事実上障害と言っても差し支えないのではないか。
 WHOがまとめた国際生活機能分類(ICF)では障害を三つの要素でとらえている。心身機能・身体構造、活動、そして参加である。そしてそれぞれの要素はそれぞれ相互に作用し、また環境因子なども作用するとしている。ICFでは障害のレベルを単なる心身機能のみで判断するようにはなっていない。活動や参加についても評価することになっている。しかもその評価は環境因子などによって影響を受けている状態に基づいて行う。ICFの枠組みで記述すれば今回の運転手は心身機能はそれほどの障害はないにしても心身機能と環境因子の影響により参加は低いレベルにとどまるという記述になる。こういう捉え方の方が実情に合っているのではないだろうか。
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