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■出生数と中絶数をだらだら並べてみたり。そしたら少妊娠化が見えてきた〔追記あり〕

 柳原滋雄さんが都の青少年条例改定に対して賛成意見を自身のサイトの記事で述べている。で、その論拠の一部として人工妊娠中絶数とできちゃった結婚の増加を挙げている。これに刺激されて前々から取り上げておきたかったことを記事にしてみることにした。なお、今回の記事は東京都の青少年条例改定賛成・反対については(少なくとも直接は)全く検討しない。テーマを「少子化」と設定していることからもわかるように少子化について拙いながら検討してみただけである。
まずは次の表をご覧いただきたい。中絶数と15~49歳女子人口千人当たり中絶率、及び出生数を表した表である。20代中絶率はあとで使う。
中絶数、中絶率、出生数の年次推移
年次中絶件数中絶実施率うち20代中絶件数うち20代中絶率出生数
1955年1,170,14350.2490,71760.51,730,692
1956年1,159,28848.7496,90960.91,665,278
1957年1,122,31646.2486,73858.81,566,713
1958年1,128,23145.6488,97558.61,653,469
1959年1,098,85343.6482,92857.91,626,088
1960年1,063,25642.0472,72656.41,606,041
1961年1,035,32940.6467,26955.41,589,372
1962年985,35137.8443,60151.71,618,616
1963年955,09235.7428,89249.41,659,521
1964年878,74832.1392,85844.51,716,761
1965年843,24830.2377,49642.71,823,697
1966年808,37828.5362,20642.01,360,974
1967年747,49026.0324,25136.51,935,647
1968年757,38926.0336,21036.31,871,839
1969年744,45125.3339,17535.01,889,815
1970年732,03324.8334,22133.51,934,239
1971年739,67424.9337,16033.82,000,973
1972年732,65324.5330,23432.92,038,682
1973年700,53223.2311,80131.22,091,983
1974年679,83722.4297,23130.22,029,989
1975年671,59722.1295,74929.91,901,440
1976年664,10621.8299,06330.11,832,617
1977年641,24221.1274,92628.81,755,100
1978年618,04420.3254,54227.91,708,643
1979年613,67620.1239,07427.51,642,580
1980年598,08419.5222,16326.51,576,889
1981年596,56919.5214,35026.31,529,455
1982年590,29919.3204,20225.61,515,392
1983年568,36318.5192,83224.51,508,687
1984年568,91618.5191,59724.41,489,780
1985年550,12717.8183,92823.31,431,577
1986年527,90017.1175,41022.41,382,946
1987年497,75616.0167,81121.01,346,658
1988年486,14615.6166,31920.61,314,006
1989年466,87614.9163,51019.91,246,802
1990年456,79714.5165,57219.91,221,585
1991年436,29913.9163,66319.11,223,245
1992年413,03213.2159,43918.21,208,989
1993年386,80712.4155,39717.31,188,282
1994年364,35011.8150,97616.51,238,328
1995年343,02411.1145,43915.81,187,064
1996年338,86710.9147,57615.71,206,555
1997年337,79911.0149,21515.91,191,665
1998年333,22011.0149,16416.01,203,147
1999年337,28811.3152,38816.61,177,669
2000年341,14611.7155,22417.71,190,547
2001年341,58811.8155,16118.11,170,662
2002年329,32611.4147,99017.71,153,855
2003年319,83111.2143,76617.81,123,610
2004年301,67310.6136,59217.41,110,721
2005年289,12710.3132,12817.71,062,530
2006年276,3529.9126,26117.31,092,674
2007年256,6729.3117,17616.51,089,818
2008年242,3268.8108,14515.61,091,156
2009年223,4058.298,57914.51,070,035
出典
中絶件数及び中絶率…厚生労働省「平成21年度衛生行政報告例」
出生数…厚生労働省「人口動態統計」
20代中絶率…総務省統計局「国勢調査」及び「人口推計」より算出

 なお、出生・中絶数と中絶率をグラフにすると次のようになる。出生数・中絶数が左目盛、中絶率は右目盛である。
出生数・中絶数・中絶率の長期推移


 ご覧いただければわかるように、かつては出生数も多かったが中絶数もまた多かった。かつての出生数が多かったのは計画的に産むという意識が無かったためではないか。年を追うごとに中絶数・出生数ともに減ってきている。しかも「フリーセックス」「性の乱れ」は進んでいるというのに。これは即ち家族計画が普及し、妊娠・出産を計画的に行うようになってきたことを意味する。計画が立てられなければ出産はおろか妊娠すらしない。要は授かりものから計画的に作るものに変わってきたのだ。
 産まれた子に占める「でき婚」の子の割合の増加も〔20代においては〕この観点から説明できる。次の表は母親の年齢が20代である「でき婚」(正確には結婚期間より妊娠期間のほうが長かった子)の数、20代日本人女性人口、及び20代母出生数、20代日本人女性人口1000人当たりの「でき婚」率である。なお、ここで20代に限ったのは、人口の年齢構成の影響を排除するためである。
20代母の「でき婚」出生数及び出生率の年次推移
「でき婚」
出生数(A)
女子人口
(B)
20代母出生数
(C)
20代女子に対する
「でき婚」出生率
(A/B*1000)
20代母出生数に占める
でき婚出生の割合
(A/C*100)
1980年71,1088,315,5001,107,0588.66.4
1985年85,7817,839,418930,22610.99.2
1990年90,3558,224,630742,85311.012.2
1995年102,8279,030,074686,22811.415.0
2000年118,7318,777,259632,19413.518.8
2001年119,6678,592,000607,09013.919.7
2002年119,1438,345,000578,31014.320.6
2003年107,8978,087,000538,04313.320.1
2004年103,9677,830,000506,70613.320.5
2005年97,0007,459,404467,46313.020.8
2006年101,0007,284,000466,00113.921.7
2007年97,0007,116,000450,22113.621.5
2008年95,0006,946,000442,44413.721.5
2009年89,0006,792,000424,57313.121.0
出典
「でき婚」出生数及び人口
2004年までは厚生労働省「平成17年人口動態特殊報告」。なお、でき婚出生数は「平均的な結婚週数の場合」の数値である。
2005年以降…人口は総務省統計局「平成17年国勢調査」、及び同局「人口推計」、でき婚出生数は厚生労働省「平成22年度「出生に関する統計」の概況 人口動態特殊報告」によった。
20代母出生数
厚生労働省「人口動態統計」
 20代の中絶率と20代女子人口当たりのでき婚出生率、20代の母親から産まれた子の数に対するでき婚出生率をグラフにすると次のようである。なお、中絶率と人口当たりのでき婚出生率は千分率、子の数に対するでき婚出生率は百分率である。それぞれ単位が違うのでグラフをご覧の際はよく注意していただきたい。
 20代でき婚出生率

 
 出生に占める「でき婚」の割合の増加ほどには人口当たりの「でき婚」の割合は増えていない。でき婚が増えたのではなく出生が減ったのだ。〔2010.12.21追記 今計算をした結果、この現象が見られるのは20代のみです。30代ではでき婚出生数の対出生数比と対人口比がパラレルに動いています。ここにお詫びし追記します。〕その分中絶が増えたかといえば先の表を見てもらえばわかるように増えていない。1992年ごろまで減少を続け、その後は若干の増減を繰り返しながら横ばいである。20代においても少妊娠化は確実に進んでいる。そんな中でき婚だけはほぼ一定の割合を保っていた。少妊娠化が進む中子を安定して産んでいたのはでき婚組であった。でき婚という決断を下せる集団でないと出生率を保てなかったということだ。
 しかし、これってずいぶんひどい国のような気がする。でき婚という決断ができない集団は妊娠すら避けなければいけなかったのだ。そんな決断ができなくてももっと気軽に子を産み育てられる、そんな社会があるべき姿ではないだろうか。

まとめ
・子は授かりものではなく計画的につくるものに変わりました。
・計画が立たなければ妊娠すら避けるようになりました。
〔20代においては〕でき婚が増えたというのは出生が減ったからそう見えるだけです。でき婚ができるくらいでないとこの国で子育てすると言う決断を下すのは難しいようです。「性の乱れ」ではなく子育ての難しさが現れているということです。
〔2010.12.19追記〕
 「性の乱れ」がないと言っているわけではありません。「でき婚の増加」が語るのは性の乱れではなく子育ての難しさということです。@syamashiro0531氏のツイートと意味するところは同じです。むしろそっちのほうがわかりやすくまとまっている。
〔追記2〕
 追補 「出生数と中絶数をだらだら並べてみたり。そしたら少妊娠化が見えてきた」追補
 数学にはきわめて弱いのであまり突っ込まないように。パッパラパーなのはわかっていますから。
〔追記3〕
 凄まじい反応に改めて驚き。もともと2ちゃんあたりでやたら親を叩いたりする連中がいたりしたので立ててみた仮説だったりする。子育てのハードルが高くなってしまってハードルがあまり気にならない層しか産めなくなったのではないかと。やっぱりかと合点がいったのであった。皆さん、もう少し子育てする人に甘くなりません?足りないと思うなら自らも手を貸してあげればいいのだ。
〔追記4〕
 グラフを追加。twitterを見てたらもうすごい反響に驚いている。普段なら二桁のアクセス数しかないブログにこれだけの反響があったのですから。皆さんありがとうございます。
〔追記5(2010.12.29)〕
さらにデータを出してあります。結構経っていますが一応リンク。こちらです。
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