■2014年05月
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■靖国神社・遊就館を訪問して太平洋戦争のバカバカしさを実感するの記【改訂】

 都内にたまたま出たのでふと思い立って靖国神社の遊就館に行ってきた。ちょっとどんな展示だったかレポートしてみる。しんぶん赤旗なんかは微に入り細を穿つレポートを行っているが、私はパッパラパーなので極めて大雑把な見方しかしないのでレポートも大雑把なのはご容赦いただきたい。

 まずは入口入ってゼロ戦が。説明には戦史に残る戦果を上げたと勇ましいことを書いているわけだが、なぜ立派な戦果を挙げたのに戦争に負けたのだろうか。不思議である。遊就館の展示はことごとくこのように勇ましいことだけを示して悲惨な側面はほとんどスルーか記述があってもごくわずかである。入館料を払い館内に入り、エスカレーターを上ると日本兵の銅像が。説明書きは細かく見てはいないのだがこれだけでここの展示がどのような方向を向いているのかがうかがえる。。第一展示室では武人の気概をうやうやしく示す展示をやっている。ただ気概だけで戦争に勝てるわけではないし、気概だけで戦争をやっていいわけでもない。そのことを忘れてひたすら気概と誇りだけを示す展示、まさに大日本帝国そのまま。おなかいっぱいになったところでどんどん中に進んでいく。招魂式の展示もあって、厳かに式が行われていた様子はわかる。こうやって慰霊をしているんですよと。しかし合祀を取り消してくれと遺族に訴訟を起こされたこともあったよね。あれどうした?といらんこと(じゃないな)を思い出してどうも靖国の世界観についていけない。遺族の想いも何も無視して自らの信ずるところのみにしたがって宗教儀礼を行っていると言うのになーにが慰霊じゃ招魂じゃと毒づきながらも先を急ぎ、日中戦争のコーナーに。満州国の先進的な都市計画が写真で示されている。確かに立派な都市計画で、戦後日本の都市を見慣れた身からすればなんと立派な都市計画なのだろうと感嘆する。このような立派な「功」の部分を強調して侵略という「罪」の部分はひたすら隠蔽する。そうやって罪の部分を功だけで押し流してしまおうという展示だ。
 いよいよお待ちかねの太平洋戦争コーナー。もちろん靖国神社の施設でありますから「大東亜戦争」表記でございますとも。まずは対米交渉のいきさつが。日本はあくまでも平和的解決を望んだのに米国が制裁を次から次へと追加し、日本を追い詰めていったと言ってる展示である。そして最後の最後にハル・ノートを突きつけられてやむなく開戦したと、こういうことを展示で主張している。しかしだね、ハル・ノートってのは単に日本の侵略のやりすぎを止めようねって言ってただけ(あくまでもやりすぎを諌めていたのであってほどほどの植民地化は止めていない)なんだが。次の展示。日本がアメリカからの輸入資源にいかに頼っていたかが縷々述べられている。そしてこれだけ輸入していたのにアメリカが制裁してくれば日本は生存の途がない、戦争しかないじゃないかと。資源輸出国相手に戦争仕掛ければどう考えても勝ち目がないのは当然ではないか。何考えているんだ当時の政府はと。しかも、1941年の時点で日米戦をやったら日本はボロ負けって研究成果ができてたわけだ。(「昭和16年夏の敗戦」猪瀬直樹を参照されたい)それにもかかわらず戦争を仕掛けようって気になるのが当時の日帝の狂気である。つーか面子だけで戦争始めただろ、そんなことをさも悲劇の主人公のように書くんじゃない靖国神社よと突っ込んでおく。靖国神社の意図としては違うのだろうが、当時の国力を平易に示してくれているのでいかに先の戦争が無謀な戦争であったのかが容易にわかってしまう。
 続いて、太平洋戦争で敢闘した将兵の展示。この将兵はこんなに敢闘した、別の将兵はあんなに敢闘した、そんな展示が延々と続く。戦果は華々しく記載されても犠牲はサラリと。であるから日本側の被害よりもアメリカ側の被害の方が大きな作戦なんかではアメリカ側の被害と日本の被害とを並べて書いていたりする。アメリカ側の被害が大きかった作戦でも戦闘の勝敗はと言えば日本の負けだったりするんだが。さらには栗林中将が子に向けて書いた最後の手紙やら別の将兵が書いた遺書やらも展示されている。こうやって「みんぞくのほこり」を鼓舞する展示である。まことに空虚な誇りなのだが。将兵の敢闘を誇らしげに展示しているが、指導部が面子で戦争を始めなければ将兵の敢闘もそもそも不要だったわけだと思い始めると突然しらけてくる。しかも戦果を挙げた挙げたと勇ましいことを言う割に戦争は敗北に終わってるわけだし。誇りだけで国がやっていけるかよ、冷静に勘定しなきゃ国はやっていけないんだ、面子だけで戦争なんか始めるから日本の国が完全なる壊滅に追い込まれたのだ、何バカ言ってるんだ靖国神社と言いたくなる。

 ここで太平洋戦争における被害を一部示しておこう。なお、出典は経済安定本部「太平洋戦争による我国の被害総合報告書」(1949年)である。

人的被害
「銃後人口」(民間人)
死亡 299,485人
負傷 344,820人
(1944年人口 72,472,836人)

軍人・軍属
死亡 1,555,308人
負傷・行方不明 309,402人

物的被害
建築物被害 73,336,000坪
(当時の建築物面積の13.1%)
工業用機械器具被害 799,400万円
(被害率34%)
船舶被害 735,900万円
(被害率80.6%)
物的被害総額 653億円
(当時の国富の25%)

 太平洋戦争はこれだけのすさまじい被害をもたらした。当時の国富の25%などといってもピント来ないだろうから現代に引き合わせて少しだけ説明しておく。2012年末の日本の国富は内閣府の国民経済計算によれば3000兆円。この25%というと750兆円になる。この規模の被害は東日本大震災(被害総額推定16兆円)、首都直下地震(被害総額想定95兆円)、南海トラフ巨大地震(被害想定220兆円)が起きてもまだ足りない。東日本大震災単独でさえ我々はすさまじい被害を受けているのに、さらにその十倍以上の被害を受けるなど考えられるだろうか?これが太平洋戦争による被害のインパクトである。これだけの被害をもたらしておいて何が民族の誇りであろうか。いきさつとこの被害を見るとどう考えても当時の戦争指導部など国賊としか思えんのだが、どうしてそんな国賊を神様として奉るんでしょうねえ、靖国神社さん。
 続いての展示が「靖国の神々」。名前のあとに命と書いてあるもんだからこれは何かと思ったら神につけられる尊称であった。靖国に合祀されている多数の死者の写真がずらりと並べられている。靖国を好む遺族にとってはありがたいことなのだろうなと思いつつも靖国を嫌う遺族を思う。遺族に黙って写真を展示することはないのだろうが(展示には遺族からの申請が必要ですと記載があった)。ここでも相変わらず英霊の皆さんが敢闘しましたよ、誇らしいでしょと言う論調の展示である。だーかーらー、無責任にも戦争おっぱじめた連中の責任はどこに行ったんだよと。
 最後の展示が大展示室。思わず息を呑んだのは人間魚雷「回天」。こんな小さな艦に人間が入って操縦してそして特攻して行ったのだと。百聞は一見にしかずとはこのことである。

 遊就館の展示を見て全体的に思ったのはやたらと勇ましくやたらと誇りが強調されているがすべて単なる面子だよねと。損得勘定が一切入っていない。ほこりだけで国民が生活していけるかよと毒づきながら遊就館を後にした。後もうひとつ、太平洋戦争は実にバカバカしい戦争であった。軍人軍属は犬死ではないか。こんな戦争をもう二度とは起こしていけないと考える私であった。

〔2014.5.9〕
 一部に記述がふざけている、バカにするためのエントリは読みづらいなどと反応があったので記述を改めてみました。
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■ボン兄タイムスのパチンコの記事が言うように本当に首都圏より地方の方がパチンコ店が多いのかねぇ

 こんなブログ記事を見つけた。

 首都圏の場合、人口24万人の茅ヶ崎市のパチンコ数は7店舗である。人口22万人の川崎市宮前区も7店舗。人口21万の東京都文京区は5店舗。だいたいこんなものである

 ところが地方だと、人口25万の長崎県佐世保市で33店舗。23万人の青森県八戸市で30店舗。それどころか、人口10万を割っている鹿児島県薩摩川内市でさえも12店舗もあるから、驚きである。
地方の娯楽はパチンコによって密閉される - ボン兄タイムス

 この記事を見て私は気になった。茅ヶ崎市や川崎市宮前区や文京区のパチンコ店数が首都圏を代表しているのか。本当に首都圏はだいたい茅ヶ崎市や宮前区のパチンコ店数と同じくらいしかないのか。というわけで全市区町村について実際に調べてみた。数値の典拠にしたのは総務省統計局「平成21年経済センサス」及び同局「平成22年国勢調査」である。なお、定義などについては末尾に付したから必要な方は参照されたい。
 さっそくデータを見ていく。まずは首都圏と地方の人口10万対パチンコ店数階級別に市区町村数を示したグラフである。
人口10万対パチンコ店数階級別の市町村数-首都圏・地方・全市区町村
 このグラフを見ると地方はパチンコ店が多い市区町村も分布しているがパチンコ店がまったく所在しない市区町村も多いということがわかる。それに対して首都圏はまんべんなくパチンコ店が立地している。ここでボン兄タイムスが例に挙げた市区町村が全国の中でどのような位置にあるかも説明しておく。茅ヶ崎市は人口10万対で3.8軒のパチンコ店数で、これ、全国で見たらパチンコ店が所在しない市町村を除いて少ないほうから68位、首都圏で見たら同じくパチンコ店が所在しない市町村を除いて少ないほうから18位の少なさだ。同じ様に宮前区は人口10万対が2.7、全国順位が23位、首都圏順位が8位。文京区は人口10万対で2.9、全国順位27位、首都圏順位が9位である。ボン兄タイムスが例に挙げた首都圏の市区はパチンコ店数が極めて少ない市区なのだ。一方、パチンコ店が多いほうとして例に挙げられている八戸市は人口10万対のパチンコ店数が13.05、全国順位は多いほうから460位。佐世保市は人口10万対のパチンコ店数が13.4、全国順位が429位。薩摩川内市が12.05で全国順位540位である。いずれも比較的パチンコ店が多いといえる市ばかりだ。パチンコ店が極めて少ない市区と比較的多い市を比べて地方にパチンコ店が多いと結論付けるのは事実の解釈を捻じ曲げている。
 続いて、市区町村ごとの総人口に占める人口集中地区人口比率と人口10万対のパチンコ店数の相関関係を見る。人口集中地区とは国勢調査の結果によって設定される都市的地域で、定義は「1)原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4,000人以上の基本単位区等が市区町村の境域内で互いに隣接して、2)それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5,000人以上を有する」(総務省統計局)地区のことである。このような地区に住む人口の比率が高ければ高いほど都会といえよう。ちなみに東京23区の人口集中地区人口比率は100%である。それではグラフをごらんいただきたい。
DID人口比率と人口比パチンコ店数の相関グラフ
 グラフをひと目見ればわかるようにまったく相関関係が見られない。念のため相関係数も算出してみたがマイナス0.01、p値は0.51で、何らの相関関係も見られないことが判明した。これすなわち地方ほどパチンコ店が多いという傾向は見られないということである。

 ボン兄タイムスの記事は何らの数値的根拠もない与太話であったというお話である。

 なお、今回の記事の作成に使用したデータをこちらにアップした。必要な方は利用されたい。

〔付録〕
「首都圏」の定義
 東京特別区・横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市(これらを以下「中心市」という)及びこれらの市区に通勤・通学する人口が常住人口の1.5%以上で、かつ人口集中地区居住人口比率が80%以上の市町を「首都圏」とした。相模原市は平成の大合併の推進のための特例として政令指定都市に昇格しているので中心市とはしなかった。

「地方」の定義
 三大都市圏(首都圏、中京圏、近畿圏)に属さず、かつ政令指定都市でもないもの。ただし、平成の大合併の推進のための特例基準で政令指定都市に移行した政令指定都市(静岡市、浜松市、岡山市、熊本市)は地方に含めた。

「中京圏」「近畿圏」の定義
 名古屋市、京都市、大阪市、神戸市及びこれらの市に通勤・通学する人口が常住人口の1.5%以上で、かつ人口集中地区居住人口比率が80%以上の市町を「中京圏」「近畿圏」とした。堺市は平成の大合併の推進のための特例として政令指定都市に昇格しているので中心市とはしなかった。

市町村界について
 原則として2010年10月1日現在の境界によった。経済センサス基礎調査のデータは2010年10月1日現在の市町村界に合わせて足し合わせてある。ただし、相模原市については区ごとの数値が存在しないため全市をひとつの市として集計した。

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■「美味しんぼ」は大阪のがれき焼却施設周辺住民1000人に聞いたとか言うが2km圏内には500人あまりしか住んでないんですよね

 今週発売のビッグコミックスピリッツ掲載の漫画「美味しんぼ」が、東北のがれきを焼却した大阪市のがれき焼却施設周辺の近くに住む1000人のうち800人がなんらかの異状を訴えたと描いている。不破雷蔵氏は自らのブログ記事で、東北からのがれきを焼却した大阪市環境局舞洲工場の周辺は工業地帯で人が住んでいるようには見えないと反論した。そこで私も確かめた。「国勢調査」には500mメッシュデータというのがあり、日本全土を500m四方ごとに区切ってその範囲内に何人が住んでいるかが集計されている。これを使えば舞洲工場の周辺に住んでいる人口もわかるというわけである。
 細かい説明はすっ飛ばしてとりあえず舞洲工場周辺の人口分布を地図に表した。次の画像である。
舞洲工場からの距離帯
 この図を見てもらえばわかるように舞洲工場の周辺はほぼ居住人口はゼロである。わずかに人口がある地域もあるのだが、ほとんどは3kmほど離れてようやく人口の集積が見られるようになる。ちなみに、1km圏内の人口が52人、2km圏内の人口が522人で、1000人などとは程遠い数値である。1000人というのが一体どこから出てきたのは誠に不思議である。

 さらに、舞洲工場から2km圏内で働く人の数が8,044人ほどいるのだが(総務省統計局「経済センサス‐基礎調査」メッシュ統計)、彼らには何らの影響も生じていないのだろうか。そこも不思議な点である。

 というわけで、私も不破雷蔵氏と同じくがれき焼却施設周辺で聞いて回ったという1000人の居住地域について説明を所望するものである。

〔2014.5.1320:03〕
 書いてる内容が端的にわかるようにタイトルを変更しました。

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■福島第一原子力発電所事故の犠牲者は被曝によるものじゃなくて被曝を避けるための避難によるものですよ

 昨日の記事では「美味しんぼ」のデマを批判し、放射能を極端に恐れることを問題視した。しかしだからと言って福島第一原発事故による犠牲がなかったと考えているわけではない。福島第一原子力発電所事故の本当の犠牲者について説明する。
 福島第一原子力発電所事故の本当の犠牲者がどこにいるかを見るにはそんなに難しい手順が必要なわけではなく、福島県発表の被害状況即報を見れば十分である。この即報を地図上に表わすと、やはりというかなんというか震災関連死は福島第一原発事故による避難地域に集中していることがわかる。この避難地域に集中した震災関連死こそが福島第一原子力発電所事故の真の犠牲者である。とりあえず図をごらんいただこう。まずは震災の直接的な影響による死者の状況である。なお、図に付してある円は福島第一原発から20km、30kmを示したものである。ただしあまり厳密に中心地点を定めているわけではないので目安程度にご覧いただきたい。
福島県直接死
 こちらの図では北に行くほど人口比死者数が多くなることがわかる。こちらは福島第一原子力発電所の近隣だからと死者が増えるということはうかがえない。単純に北に行けば行くほど死者が増える傾向にある。続いて震災関連死の状況。
福島県間接死
 こちらははっきりと福島第一原発事故に伴う避難地域に集中している傾向が見られる。最後に震災による直接死と関連死をトータルした人口比である。
福島県死者総計
 なんと、死者数が高い自治体は福島第一原発事故に伴う避難地域に集中しているではないか。しかもこれ、震災に伴う直接的な死亡とトータルしたものであるから、津波よりも原発事故に伴う避難が命を削っていたことがまざまざと見えてくる。
 回はたまさか放射線被曝だけは避けることができたので放射線被曝による直接的影響は見られなかったが、しかし放射線被曝を避けるための避難によって多くの犠牲者が発生している。そして、このような避難をしなければそれこそ放射脳といわれるような方々が訴えるような健康被害が確実に発生して命を削っていたはずである。(確かに現実には線量のさほど高くない地点も相当多かったのだが、それについては次の記事で触れた)福島第一原子力発電所事故による犠牲者はまさに避けることのできない避難によって生まれたのである。そんな犠牲の事例を一部示してみよう。

・避難地域に所在する病院に入院していた肺炎患者。原発事故により避難が必要になり、それまでしていた点滴も外し呼吸器も外し搬送される。搬送された先が体育館で、ここでも呼吸器をつけてもらえないまま。家族が迎えにくるまで必死で息苦しさに耐える。ようやく家族が迎えに来て遠方の病院に落ちつく。しかし数ヵ月後に避難に伴う苦痛によって亡くなる。
・避難地域に所在する病院に入院していた寝たきりの患者。原発事故により避難が必要になるも、避難のための車がなかなか来ない。医師たちはライフラインが途絶する中必死で看護を続ける。しかし、物資も乏しい中での看護に限界が訪れ、避難のための車が来る前に死亡。
・前事例と同じ病院でのできごと。避難の車が来るまでは何とか耐えたが、やってきた車が観光バス。もともと寝たきりだったのでバスに乗るのも厳しいのだがそれでも何とか医師たちが乗せる。その後点滴も何もないまま12時間以上もバスに乗せられ続け、そのバスの中で死亡。死亡しているのが発見されたのはバスが到着した避難所。
・もともと要介護認定を受ける程度ではあったが在宅生活をしていた。しかし原発事故の影響で避難をしなければならなくなり、長時間バスに乗る。しかもそれが何度も。これだけで極度に疲労したところにさらに避難所となった体育館での生活が苦痛を与える。寒い体育館で必死に耐え、狭い空間なのでろくに運動もできず、さらには食料も不足したので衰弱した。結果、疾病を発症して死亡。
 
 ここでちょっと解説。20km圏というのはかなり広大な範囲なのである。この図だと福島県の広さゆえに20km圏が大した広さではないように見えるのだが、これを首都圏や関西圏に重ねてみればどれだけ広い範囲なのかがわかりやすくなる。
東京や大阪の都心から20km、30kmがどれくらいになるのか図を示しておく。
首都圏
東京都心からの距離帯
関西圏
大阪都心からの距離帯
 この図に付している円の半径は福島県の地図に示した円の半径と同じである。いかに避難地域が広大であるかわかろうというもの。避難地域の病院から避難地域外の病院に移すというのは首都圏で例えれば文京区の東大病院あたりからつくば市の筑波大病院や毛呂山町の埼玉医科大病院に移送するようなもの。関西圏で例えれば大阪市大病院から京都市の京大病院辺りに移送するようなものだ。重症患者をそれだけ長距離動かしていれば当然身体に負担はかかり、命を削る結果になろう。

 こんな犠牲がそれこそ1000人の単位で発生したのだ。このような犠牲が多いところでは人口の100人に1人以上も出ている。阪神・淡路大震災による神戸市内の死者はおよそ人口の0.3%であることを考えればいかに多大なる犠牲者が生まれているかがわかる。そんな犠牲になった彼ら・彼女らが最期に感じた苦痛は被曝による病気による苦痛に勝るとも劣らないものである。間違いなく原発事故の犠牲者のはずなのだが、しかし彼ら・彼女らを軽視する人は多い。被曝による死ではないから軽視するのだろうか。あまつさえこのような現に出ている犠牲者を無視してありもしない被曝による犠牲だけを声高に訴え続けるのはもはや害悪でしかない。

 福島第一原子力発電所事故の犠牲者、それは被曝を避けるために絶対に欠くことのできなかった避難そのものが命を削った多くの犠牲者である。

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■現状のように避難を徹底していなければ福島第一原発事故による被曝死が確実に出ていた

 福島第一原子力発電所事故について過去二回ほど書いてきたが、これで一応ラストである。これまでに私は「避難を徹底したから被爆による死は避けられました、その代わりに避難による死が多数発生しています」と述べてきた。今回の事故ではたまたま避難を徹底することができ、高い線量の被曝を避けることだけはできたので避難しなければどれだけ危険な状態になっていたかいまひとつ現実味を感じられない。そこで事故当時のデータを見てみた。
 事故当時の福島第一原子力発電所から20km圏内の放射線量のデータは今現在も原子力規制委員会サイト内に公開されている(東京電力株式会社福島第一原子力発電所の20km圏内の空間線量率の測定結果)ここに掲載されている最も古いデータである2011年4月のデータを見てみよう。3月30日から4月2日の観測データによれば大熊町夫沢で124.0μsv毎時を記録したのが目を引く。この線量を一年間浴び続ければトータルで1086.24mSv、すなわち1.08svの線量を浴びることになる。さすがにこのレベルになるとかなりの健康被害が生じてくることになる。だいたい0.1svまでは発がんリスクが有意に上昇することがないとされているが1svというのはこれを大幅に上回っている。他の地点でも双葉町山田で79.5μsv毎時(年間換算0.696sv)、大熊町熊新町で23.1μsv毎時(年間換算0.20sv)などといった線量が記録されている。しかもこのような水準の線量が記録されている地点はかなり多いのだ。これだけの線量を浴びれば健康被害は避けられない。
 ここで「確かに高い線量が記録されている地点はあるけどそうでない地点も多いのでは」と疑問を抱くところであるが、しかしどこが高い線量になったかなどというのは風向きなどのほとんど偶然によって決まった。だから現実に高い線量が記録された地点ではない地点で高い線量が記録されてもちっとも不思議ではなかった。であるからこそ20km圏内をすべて避難させるという措置を行わなければならなかった。そして、これらの避難を行わなければ被曝による死者が出るのは避けられないことであった。
 このような当時のデータを忘却して非難しなくても大丈夫ではなかったかなどと問う人もいるのだが、しかしそれは間違いである。徹底的に避難措置を行い、それが功を奏して被曝による死者は発生しなかった。これからも一般住民に被曝による死者は発生しないと考えられる。だが、その避難のために住民の命を削り、千人単位の犠牲が発生した。そしてその犠牲者は今も産まれつづけている。このことを忘れてはならないのだが、どうも忘れられているような気がする。

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■すき家ストライキで正面からすき家と戦いたい人のための超簡単労働組合つくり方ガイド

 現在、twitterでは「#すき家ストライキ」のハッシュタグで5月29日にすき家のバイト皆で欠勤してストライキしようという話が盛り上がっている。というわけで合法的に5月29日にストをする方法を書いておく。流れとしては組合を作って団交してストを打つという流れだが、それぞれのステップは決して難しいものではない。サークルを作ってサークルで活動していくのと同じようなものである。
 なお、「正面から戦いたい人のための」としたのはこのような手順を踏んでストを打ったらゼンショーがクビにしてくるなどの可能性も否定できない(ただし違法なので裁判所に訴えるなりすればゼンショーは賠償命令を食らう)ため、あくまでもそのようなリスクをとってでも正面から戦いたい人が参照してくださればと考えてのものである。だからそのようなリスクが怖いという人は有休を使う、病気だと嘘をついて休みをもらうなどの手段を使えばよいのだが、こちらの手段を使って本来の意図がゼンショーに発覚したときはゼンショーはそれなりの処分を下すことができることを念頭に置いていただきたい。
 それでは始めよう。

1.労働組合結成
 有志2人以上で集まってゼンショーから少しでも高い労働条件を取るために戦おうぜと示し合わせます。これで労働組合はできました。なお、労働委員会に訴え出るときには規約がどうのなど七面倒な要件を問われることになりますが、その要件は労働委員会に訴え出た後でおいおい整えればよいのです。労働委員会事務局が丁寧に指導してくれます。
 このとき、最低限満たさなければならない条件は次の通りです。ただし、ゼンショーから高い労働条件を勝ち取ろうとする皆さんがこの条件を満たせないことはほぼないはずです。
1)経営側に属する人が参加していないこと。アルバイトだけで参加していればこの条件は軽く満たせます。
2)ゼンショーから高い労働条件を勝ち取ろうとすることを目的にすること。
3)組合で必要な経費をゼンショーに払ってもらわないこと
4)労働者が主体になってること。アルバイト主体なら何ら問題ありませんね。
 この条件を満たす団体なりサークルなりを作ったらもうそれは労働組合です。つづいて、次の事柄を決めます。
・組合の住所
・代表者
・組合の名前
 これらを使ってゼンショーと交渉していきますので最低限これらは必要です。もっとも、組合の住所などメンバーの誰かの自宅で一向に構いません。都合のいい場所をお選びください。代表者や組合の名前も都合に合わせて決めてください。決まったらメモ書き程度でいいので紙に書いて残しておきましょう。

2.団体交渉
 それでは団体交渉を始めましょう。まずメンバー皆で一体何を要求するか決めます。労働条件に関することならおよそなんでも構いません。「給料上げろ」でもいいですし「残業代払え」でもいいですし「労働時間短くしろ」でもいいですし、もちろんこれらすべてを要求しても構いません。
 要求事項が固まったらそれを文書にしてゼンショーに送り付けましょう。このとき、一緒に何月何日までに受諾するとの回答がなければ何日にストライキを決行するとの文も付け加えます。送りつけるときは内容証明郵便がよろしいでしょう。内容証明郵便の郵便料金をどう払うかはメンバーで決めてください。
ゼンショーからの回答によってこのあとの行く先が違います。
1)全部受諾するとの回答があったら
 おめでとう!皆さんの大勝利です。回答は社印つきの文書でもらうようにしてください。後は労働協約を結んで皆さんの示した条件に従うように監視するまでです。もし実行しなければ裁判に訴えられますし改めてストを打っても構いません。とりあえず5月29日のストには参加できません。

2)受取拒否されたら
 団体交渉の拒否ですからストライキに突入できます。ストライキ予告もしてあるのですからもはやスト決行に何はばかることもありません。受取拒否したのは相手の勝手な都合ですからそんなものを考慮してやる必要はないのです。

3)団体交渉の申し入れがあったら・拒否回答があったら
 やっぱりストライキに突入して構いません。交渉を続けながらストをやってください。交渉中にどの時点でストをやるかは皆さん方の組合が決めることです。交渉決裂まで待つ必要はありません。

4)何らの回答もないとき
 これが一番きわどい。安全策としてはストを打たないことです。かと言って一応期限を切って回答を求めていますから絶対に違法とされるわけでもないのですが。一週間くらい前に通知していればよいのですが今回それはできないのでなるべく早めに通知することをおすすめします。

3.ストライキ突入
 いよいよストライキ突入です。ストライキ中は家で寝てるもよし、何をするもよしです。店の前でストライキ決行中と看板もって立っているのもよろしいかと。ただし暴力だけは絶対にいけません。

4.労働委員会に申し立てる
 もしストライキをしたことでクビになったり不利益なことがあったりすれば労働委員会に申し立てます。すると皆さんの組合の法的に不備な点を労働委員会の人はいろいろ指導してくれますからその通り不備を改善します。これで労働委員会は皆さんの組合を法的に正当な組合として扱ってくれます。労働委員会が命令を出すまでに不備が直っていればよいのですから、細々とした要件を組合結成の時点で考える必要はないのです。

おまけ.既存の組合への参加をどうするか
 首都圏青年ユニオンなどの既存の組合への参加は皆さんで自由に決めることです。ただ、既存の組合は闘い慣れていますから、ゼンショーと闘っていく上でのテクニックも当然期待できます。そのことも勘案して既存の組合に入るかどうかを検討してください。既存の組合に入らないからストが違法ということは一切ありません。

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ブログ名変えた(2011.4.24)。落ち着かないなあ。

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