■2011年05月
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■福島第一原発周辺の退避範囲を東京圏、関西圏に重ねたらその範囲の広さに改めて驚いた

 福島第一原発の事故に伴い同原発から20キロ圏内には警戒区域の指定が、20キロから30キロ圏内には緊急時避難準備区域の設定がなされている。この20キロ圏内だとか30キロ圏内とは東京で言えばどのくらいになるのか「なんちゃって☆めも」にある「マウスクリックで地図上の任意の点を中心に、設定した半径の円を描く。」というAPIを使って描いてみた。
国会議事堂からの半径20キロ圏と30キロ圏
 なお、500mメッシュ人口との重ね合わせを行った地図も示しておく。
東京都心からの距離帯
 これを見ると20キロ圏、30キロ圏というのはかなり広い範囲になるのがわかる。国会議事堂から20キロ圏ですら一都三県にまたがっている。23区はすっぽり20キロ圏内入り、市川市や松戸市、調布市まで20キロ圏内に入っている。23区全域避難、隣接市もまた避難となればおそらくはとてつもない規模の避難になるだろう。これが福島県内で実際に行われていることなのだ。ただ人口密度が小さいためにインパクトもまた小さいだけである。30キロ圏内になるともっと広く、千葉市やさいたま市、横浜市の一部すらも入ってくる。袖ヶ浦市がギリギリで30キロ圏外になる。私は福島県内の30キロ圏内と言っても大したことないように思えてしまうのだが、こうして首都圏に重ねてみるとものすごく広大な範囲であることを実感した。なお、もう一つのバージョンとして大阪市役所から20キロ、30キロ圏内はどうなるかも描いてある。
大阪市役所からの半径20キロ圏と30キロ圏
 こちらも500mメッシュ人口との重ねあわせを行った地図を示しておく。
大阪都心からの距離帯

 大阪市役所からの半径20キロ圏内には生駒市や川西市、芦屋市といったところがおさまる。一府二県にまたがっている。これだけでも衝撃的だが「計画的避難区域」「緊急時避難準備区域」〔2011.5.3訂正〕の30キロ圏内となると神戸市や奈良市、さらには長岡京市まで入ってくるのだ。二府二県にまたがっているのだ。こうしてみると原発事故というのはかなり広大な範囲に影響をもたらすことがわかる。
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テーマ:原発事故 - ジャンル:ニュース

■栃木県日光市で自家用車(含むオートバイ)を使わない通勤はどれくらい現実的だったのか〔追記;障害の定義が狭いのでは〕

 栃木県鹿沼市でてんかん持ちの運転手が交通事故を起こし、児童6人を死亡させた事故に関して「そもそも運転しなければよかったんだよ」という意見が時たま見られる。今回はこの事故を起こした運転手の住んでいた栃木県日光市で自動車(オートバイ含む。)を使わない通勤がどの程度現実的だったのか検証してみる。

1.日光市の自動車世帯普及率は100%
 総務省統計局の「平成21年全国消費実態調査」の栃木県内の結果にある「地域別1000世帯当たり主要耐久消費財の所有数量及び普及率」という表によれば栃木県日光市の自動車世帯普及率は100%である。標本調査であるからある程度の誤差は見込むにしても日光市では自動車抜きの生活というのはまずありえないことがわかる。なおこの調査によれば交通が発達した東京23区の自動車世帯普及率は53.0%である(東京都結果表)。交通が発達していればちゃんと自動車普及率も低くなっていることが読み取れる。

2.日光市で実際に通勤に自動車を使っている人はどれくらい?
 そこで次の検証になる。実際に日光市で通勤というものをしている人のうちどれくらいが自家用車を使用しているかである。そんなデータあるのかいなと思われるかもしれないがあるのだ。「国勢調査」に。ただし10年に一度の大規模調査年にしか調査されない項目なので今使用できる最新のデータは2000年調査のものである。
 さて、2000年国勢調査によれば自宅外に通勤している15歳以上の日光市民は7,161人、自宅外に通学する15歳以上の日光市民は761人、両者合わせて7,922人である。一方、交通手段についてだが(交通手段のデータは通勤者・通学者の区別がされていない)、日光市民のうち自家用車・オートバイのみ、あるいは自家用車・オートバイと他の手段を組み合わせて通勤通学している者は5,197人、「その他交通手段が2種類」「利用交通手段が3種類以上」に分類されて自家用車等の使用の有無がわからない者が172人である。自宅外に通勤・通学する7,922人のうち自家用車やオートバイを使っている者は5,197人、自家用車やオートバイを使わず通勤・通学する者は2,725人である。この数字だけ見れば確かに自家用車抜きで通勤できなくもないような気もする。ただし、このなかには徒歩のみ通勤・通学者1,268人が含まれる。自家用車等を使わない者のかなりの部分が徒歩で通勤・通学していることになる。徒歩ではなく、かつ自家用車も使わずに通勤・通学している者は1,457人。徒歩圏内で仕事が見つからなければちょっと自家用車抜きの通勤は厳しいんじゃないだろうかというのが結論である。なお、ここに示したデータは全て平成12年国勢調査の「従業地・通学地集計その1」の栃木県の報告書掲載表に掲載されているものである。

〔追記 障害の定義が狭いのでは〕
 今回の運転手の場合、運転さえしなければ仕事には問題なさそうだ。薬さえ飲めば発作が抑えられる。薬を飲み忘れたときのことを考えれば運転はしない方がいいというだけである。だから現行の日本の定義では障害には該当しないのだが、これは実情に合っているのだろうか。日光市はまだマシな方ではあるが車がないとどこにもいけないという地域は多い。そんな地域で運転できなければほとんど社会参加は不可能である。事実上障害と言っても差し支えないのではないか。
 WHOがまとめた国際生活機能分類(ICF)では障害を三つの要素でとらえている。心身機能・身体構造、活動、そして参加である。そしてそれぞれの要素はそれぞれ相互に作用し、また環境因子なども作用するとしている。ICFでは障害のレベルを単なる心身機能のみで判断するようにはなっていない。活動や参加についても評価することになっている。しかもその評価は環境因子などによって影響を受けている状態に基づいて行う。ICFの枠組みで記述すれば今回の運転手は心身機能はそれほどの障害はないにしても心身機能と環境因子の影響により参加は低いレベルにとどまるという記述になる。こういう捉え方の方が実情に合っているのではないだろうか。

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■例によって例のごとく経済産業省サイトすら調べない「ジャーナリスト」瀬戸弘幸

 瀬戸弘幸氏が自らのブログ「日本よ何処へ」の記事「パチンコ店への電力制限はなし」で大規模工場や上下水道施設は電力使用制限対象なのにパチンコ業界は書いてない、パチンコ業界は電力使用制限の対象外だ、おかしい!!!1!などと書いているが経済産業省サイトを見ればそんなのは間違いだと簡単にわかる。経済産業省サイトによれば電力使用制限の対象は次の通り。
【原則】
 東京電力、東北電力管内で500kW以上を受電する者全て。業界を問わない。この単位がわかりずらいと考えたTBSが「大規模工場など」という表現をして伝えただけである。それにしたって上下水道施設などは書いてあるのにパチンコ業界は書いてないと言いそうだがそれは次の【例外】に関係してくる。
【例外】
 病院や鉄道といった重要な施設については例外を設ける。例:緊急患者を治療中の医療機関は適用除外。その他の医療機関は削減率0%。鉄道は12時~15時:削減率15%、その他の時間帯:削減率0%などといった具合に例外を認める業界を示しているだけである。ここに示していない業界は全て原則の通り電力使用制限がかかる。パチンコ業界は例外を認める理由が無いから示されていないだけで、原則どおりの電力使用制限がかかる。

 しかしなあ。経済産業省サイトを見れば素人でもわかるのにそれすらしないで報道機関の報道だけ見て早合点してブログ記事を書いてしまうのに「ジャーナリスト」などと名乗り続けるのは恥ずかしくないのだろうか。ジャーナリストならちゃんと発表ぐらい確認しろよ。

〔追記(2011.5.26)〕
 元ソース確認するために必要な手間って
 1)キーワード「経済産業省」でググる
 2)検索結果に出てきた経済産業省トップページに飛ぶ
 3)トップページにある「注目情報」の中の「電気事業法第27条による電気の使用制限の発動について」という文字をクリックする
これだけなんだよね。一応「ジャーナリスト」を名乗って発信しようって人間がこれくらいの手間を惜しんでどうするんだよ。一般人が元ソースを調べようとしないのとはわけが違う。この程度の手間を惜しみながらなおも「ジャーナリスト」を名乗れるなんてすごいなあ。どこの記者も報道発表くらいは目を通すぞ。報道発表資料が出てるのによその記事を見てそれだけで記事書く記者なんかいない。

追記〔2011.5.31〕
 このエントリに付されたはてなブックマークにてid:flasher_of_thought氏が経産省のサイトを見たけど読解できなかった可能性もあるなどと指摘していたが、さすがに仮にもジャーナリストを名乗る人間があの程度のサイトを解読できないなんてことは…ありうるかもしれない。

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■「ネットde真実」な方々を嘲ってみる

 今回の記事はいわゆる「ネットde真実」な方々を嘲ってみる。本当にそれだけ。新しい情報は何もない。…これだけ予告しておけば大丈夫であろう。さてさて「ネットde真実」な方々は過去さまざまなデマを流してきた。このブログでもその一部を取り上げ間違いだと指摘してきたが今回はそのまとめをしてみようではないかと考えたわけだ。それらのデマはあまりにもレベルが低すぎるデマなのでまとめがてら嘲うこともする。なお、それらのデマには書いていた人間・拡散しようとした人間を指し示しているがこれは私の目に付いた者を恣意的に挙げただけに過ぎないので「拡散」の首謀者であることを示すものではない。。おまけとして最後の方で「ネットde真実」な方々が必死に「拡散」に勤しむ姿を垣間見ようと思う。

【デマ・1】2010年参院選で山梨県の無効票が多かった、これは輿石東の陰謀だ(瀬戸弘幸ほか多数)
 これはこのブログの今回の参院選で「山梨の無効票が多すぎる」と息巻く皆さんへで検証したとおり。総務省のサイトにあるデータをエクセルなりcalcなりに突っ込んで計算すればすぐさま間違いだとわかる。それもやらずに陰謀陰謀と騒ぐわけである。「山梨県 参院選 無効票」でググると陰謀陰謀と騒ぐブログやらが山ほど出てくる。

【デマ・2】民主党本部周辺でのデモがついに禁止された、民主党政権の弾圧政策が始まった(二階堂.comほか多数)
 これも民主党本部周辺でのデモが禁止された、言論弾圧だと大騒ぎしているが自民党本部周辺も指定済で検証した通り。政党と名のつくところはおよそ全てこの指定を受けている。自民党も公明党も共産党も社民党も全てである。これは検証がちょっと難しかったかもしれない。大き目の図書館に行って官報の検索をしないとわからない事柄であるから。これもまたググると山ほど騒いでいるブログが見つかる。うんざりするので勝手にググってください。

【デマ・3】日本の幼児死亡率は中国産ベビーフードのせいで世界最悪(水間政憲ほか多数。なおこのデマの発信源は間違いなく水間政憲)
 水間政憲氏が次の動画で言っていたことである。

 これも水間氏は「日本の幼児死亡率世界最悪」というが幼児死亡率を国際比較したら日本は先進国最悪ですらなかったで検証した。まともに考えれば世界最悪なんか絶対にありえないとわかりそうなものなのだがそれでもかなりの方々がブログでお書きになっていらっしゃる。このネタは調べる以前にまず絶対にありえないとわかるだろ。義務教育レベルの英語力も持たない方々がWHOのデータベースにあたることもせずにせっせとばら撒いていらっしゃるご様子で。なお、このデマを検証したエントリのコメントではみんな「主要先進国」と勝手に自主的に読み替えてあげて世界最悪だと言ったことは優しくスルーしてあげている心の広さ。

【デマ・4】子ども手当法の成立を内閣法制局が止めてくれている(「しまねこ」ほか多数)
 これはこのブログでは検証してなかったネタ。しまねこ氏のブログ「たわわの国から~しまねこが行く」にある内閣法制局に応援メールをというエントリにあったネタ。もともとは2ちゃんねるあたりが発祥のようだ。内容は子ども手当法案が国会を通ったが内閣法制局ががんばって止めてくれている、内閣法制局に応援メールをと言うもの。これも結構多くのブログが書いていたりtwitter上で拡散されたりした。ググると山ほどツイートが見つかる。もうこれは言うまでもないわな。法案は国会を通ったら法律になる。内閣法制局に止める権限などない。これは義務教育レベルの常識である。小学校でも中学校でも学ぶはずの常識である。こんな義務教育レベルの常識すら知らないで拡散拡散騒ぐのはやはり日教組が推進したゆとり教育のせいで、ネットde真実な方々が日教組をあれほど嫌うのは自分達が日教組のせいでバカになったと恨んでいるためなのだろうか。(これちょっとイヤミ入ってます)
 なお、現行学習指導要領(移行期に入っていますが1998年に告示されたもののことです)の社会の章には次のようにある。

地方自治の基本的な考え方について理解させる。その際,地方公共団体の政治の仕組みについて理解させるとともに,住民の権利や義務に関連させて,地方自治の発展に寄与しようとする住民としての自治意識の基礎を育てる。また,国会を中心とする我が国の民主政治の仕組みのあらましや政党の役割を理解させ,議会制民主主義の意義について考えさせるとともに,多数決の原理とその運用の在り方について理解を深める。さらに,法に基づく公正な裁判の保障があることについて理解させるとともに,民主政治を推進するためには,公正な世論の形成と国民の政治参加が大切であることに気付かせる。その際,選挙の意義について考えさせる。

 内容の取り扱いの細目は次のように記載されている。

「地方公共団体の政治の仕組み」については,細かな事柄は取り扱わないようにし,基本的な内容の理解にとどめること。また,「国会を中心とする我が国の民主政治の仕組みのあらまし」については,議会制民主主義の意義,議院内閣制の仕組み,国民の権利・義務を保障し社会の秩序を維持するための裁判の働きなどの基本的な理解にとどめ,国会,内閣,裁判所の細かな組織や働きについて深入りしないこと。

 このように法律が作られるまでについてはしっかり義務教育で扱っていることがわかる。

 以上、「ネットde真実」な方々がせっせとばら撒くデマのごくごく一部について取り上げ、検証してみた。嘲笑は控えめになったつもりである。

おまけ
 ネットde真実な方々がネット工作に勤しむご様子が垣間見える画像をfut573さんから教えていただいたのでここでも紹介しよう。以下三点である。
「2chを憂国の叫びで埋め尽くす会」
http://livedoor.2.blogimg.jp/googleyoutube/imgs/c/a/cafe8b04.jpg
「"Yahoo!みんなの政治"を監視」
http://livedoor.2.blogimg.jp/googleyoutube/imgs/1/4/14711357.jpg
「ニコ動時報部隊」
http://livedoor.2.blogimg.jp/googleyoutube/imgs/d/3/d319bd08.jpg
 fut573さんに言わせれば間違いだと知っていながらわざとやってる連中もいるとのことだが私はそんなこと知ったことではない。義務教育レベルの常識すら知らない、バーカバーカと嘲うだけである。
 左側に用意したリンク集を活用してもらえば少しはこういうデマに引っかかることもなくなるのであろうが。

おまけ2〔2011.5.31〕
 忘れていたがここで取り上げたデマを流していた者の一人、瀬戸弘幸もネット工作に勤しんでいた。2ちゃんねるは憂国の戦場という記事がそれだ。瀬戸弘幸自ら2ちゃんねるのスレッドを指定してネット工作を呼びかけ、さらに自らも「我々は「反日勢力」を完膚なきまでに撃滅する考えです。」などと書いていた。

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■私立高校退学者数の減少は私立高校敬遠のせいか否や

 全国私立学校教職員組合連合の調べによると2010年に経済的理由で私立高校を退学した生徒が1998年の調査開始以来最低となった。fut573さんは自身のブログ「情報の海の漂流者」の高校無償化と私立高校退学についてのグラフという記事でこのことを取り上げ、顕著な改善を見せているとしている。しかしこの記事に付されたはてなブックマークでid:hahihoさんが「そもそも無理して私立に入れようとしなくなった可能性があるんでは?」という疑念を示している。この疑念はもっともなので私立高校からシフトしているのか文部科学省「学校基本調査」のデータを調べることとする。なお、この調査では中学校側が報告した進学者数のデータと高校側が報告した入学者数のデータの双方がある。前者は残念ながら課程別のデータしかない。このため後者のデータも同時に調べてみた。

1.課程別高校への進学者
 中学校から高校への進学率を進学先の高校の課程別に算出した結果が次の表である。
表1 高校の課程別進学率
年次合計全日制定通計定時制通信制
200296.9993.943.051.881.17
200397.2794.302.971.841.13
200497.4894.413.071.931.14
200597.6494.353.292.101.19
200697.6994.323.372.151.23
200797.7094.163.542.191.34
200897.8394.103.732.301.44
200997.9293.834.092.511.58
201098.0493.724.322.581.74
注:ここでは「全日制」に中等教育学校全日制、高等専門学校、特別支援学校への進学者を含めている。
 グラフにすると次の通り。
課程別高等学校への進学率
 確かに定時制・通信制への進学率が伸びていて、全日制への進学率は減っている。しかし定時制・通信制への進学率の伸びは全日制進学率の減り方より大きい。全日制から定時制・通信制へのシフトはあるにせよそれだけが定時制・通信制への進学者の伸びの要因ではない。これまでなら進学しなかった層が進学するようになったため定時制・通信制への進学者が増えているのである。また全日制への進学者の減は2004年から始まっており、2010年からの経済的理由での私立高校退学者数の減少を説明するには不十分である(もし進学者数の減のみによって退学が減っているのなら少なくとも2007年には退学者数が減少を始めていないとおかしい)。このデータからは無理して進学させなくなった傾向はあるのかもしれないがそれだけでは説明するには不十分であるという結論になる。。

2.設置者・課程別高校への入学者
 それでは設置者別の高校入学者数はどうなっているのだろうか。高校入学者の設置者別・課程別の割合を示したのが次の表である。
設置者別、課程別の高校入学者の比率
年次国公立全日制国公立定時制私立全日制私立定時制通信制定通計
200265.472.4828.360.123.576.17
200365.212.4328.770.103.496.03
200465.042.5328.920.103.416.04
200564.892.7228.650.113.626.45
200664.772.7328.750.103.666.48
200764.582.7928.930.103.606.49
200864.462.8828.800.103.756.73
200964.523.0628.530.103.796.95
201064.323.0728.660.113.857.02
 グラフにすれば次の通り。
課程・設置者別高校入学者
 これを見れば2007年から若干私立全日制への進学者数が減っている。こちらのデータは無理して私立に進学させなくなったから私立の中途退学が減ったと言う仮説を裏付けそうなデータではある。無償化の効果ではなかったのかもしれない。

参考表として中学校からの進学者の実数、及び課程別設置者別の高校入学者の実数を示した表を掲載しておく。
参考表1 中学校卒業者及び課程別高校への進学者
年次卒業者高校進学者全日制進学者定時制進学者通信制進学者
20021,365,4711,324,3751,282,69125,71815,920
20031,325,2081,289,0081,249,65624,34314,969
20041,298,7181,265,9701,226,08125,05514,820
20051,236,3631,207,1621,166,51525,94114,688
20061,211,2421,183,2541,142,38525,98714,866
20071,213,7091,185,7891,142,83626,61516,323
20081,199,3091,173,3221,128,53327,52717,246
20091,188,0321,163,3361,114,72929,79318,797
20101,227,7361,203,6181,150,57431,63721,396
注:表1の注を参照されたい。
参考表2 設置者別・課程別高校への入学者数
年次国立公立私立通信制
全日制定時制全日制定時制
20022,929881,68333,523383,1621,64748,174
20032,932853,86031,958377,9551,32245,904
20042,896833,79932,524372,0341,33843,825
20052,949794,07233,393351,9191,35644,482
20062,949775,06332,739345,3461,19443,925
20072,947772,93133,466347,5701,20343,303
20082,973763,13234,236342,3271,17544,623
20092,910754,94535,938335,0961,14544,490
20102,902776,93937,172347,4711,27446,724

■私立高校退学者数の減少は私立高校敬遠のせいか否や【志願者数から検証してみた】

 前回の記事に対してfut573さんから「入学者ではなく、第一次志望倍率でやるのが妥当な気も」というご意見を頂いた。といっても志望倍率の公的なデータは存在しないので教育委員会が行っている中学校3年生対象の進路希望調査のデータを取り上げることとした。このデータによって私立高校が敬遠される傾向にあるかどうかを調べようと言うわけである。取り上げたのはデータが比較的目立ちやすいところにあった東京、神奈川、栃木、長野、愛知の5都県である。過去5年のデータを収載するのを基本にさらに遡れる県については2001年まで遡ったデータを収載した。なお、各都県で分類項目も違うので直接的な比較はできないことにご注意いただきたい。また、特別支援学校高等部及び高等専門学校への志願者は公立全日制志願者に含めた。年次は調査年度である。
1.東京都(都立高校全日制等志望予定(第1志望)調査)
 東京都の場合都立と都立以外という分類になっており、国立も私立も全て「都立以外」という分類でまとめられている。従って私立高校への志願状況は厳密にはわからないが一応の参考にはなる。
表1 東京都
年次定時制通信制定通計全日制計都立全日制都立外全日制進学希望者
20052.710.242.9692.2268.9423.2997.43
20063.780.274.0592.2168.1324.0897.94
20073.430.243.6792.3669.0423.3297.89
20083.790.304.1092.3271.2121.1198.10
20093.860.304.1692.5571.5121.0598.18
20103.940.394.3392.2771.3720.8998.13

 グラフにすると以下の通り。東京都進路希望状況
 全日制への志願は減っていないが都立以外の全日制への志願が減り都立全日制への志願が増えている。また定時制・通信制への志願も伸びている。これはチャレンジスクールなど新しいタイプの定時制が続々開校していることが影響していると見られる。
2.神奈川県(公立中学校卒業予定者の進路希望調査)
表2 神奈川県
年次定時制通信制定通計全日制計国公立全日制私立全日制進学希望者計
20010.880.761.6493.8582.6711.1895.49
20020.620.831.4594.3183.0011.3195.76
20030.970.861.8394.0383.1410.8995.86
20041.270.882.1594.1582.9711.1896.30
20051.540.962.5093.3681.9711.3995.87
20061.571.062.6393.0881.8611.2295.71
20071.491.442.9392.9081.6811.2295.83
20081.421.452.8793.4083.0610.3496.27
20091.841.112.9592.5382.909.6395.48
20101.911.333.2492.6483.139.5295.88

神奈川県進路希望状況
 神奈川県の場合私立全日制志願の減少がそのまま全日制全体の志願の減少に結びついている。国公立全日制志願の増加は見られるが私立全日制志願減を埋めるほどにはなっていない。代わりに伸びているのが定時制・通信制への志願である。もっともこれらの現象は私立高校を経済的理由で退学した生徒が急減する以前からの現象なので退学減を説明するには不十分である。
3.栃木県(中学校3年生の進路希望調査)
表3 栃木県
年次定時制通信制定通計全日制計国公立全日制私立全日制進学希望者計
20011.020.171.1995.7982.5313.2696.98
20020.870.181.0696.1683.7112.4597.22
20031.040.151.1996.1483.3612.7897.33
20041.660.221.8895.6783.2712.4097.55
20051.830.242.0795.6283.2112.4197.69
20061.800.332.1395.6582.8312.8297.78
20072.240.332.5795.2982.4512.8497.86
20082.440.292.7395.1582.4112.7597.88
20092.200.432.6395.5183.3812.1398.14
20102.580.443.0195.3381.2614.0698.34

栃木県進路希望状況
 栃木県では2010年調査で国公立全日制志願が減り私立全日制志願が増加する傾向が見られる。即断は出来ないが私立を敬遠する傾向が弱まった可能性がある。なお、全日制志願は減ったもののそれを上回る定時制・通信制志願者の増加が見られ、進学希望者は増加傾向である。
4.長野県(高等学校入学志願者第2回予定数調査)
表4 長野県
年次公立定時制公立全日制私立全日制全日制進学希望者計
20051.4182.8411.0693.9098.12
20061.8282.8411.7194.5598.84
20072.1382.8310.5893.4198.02
20082.4282.4910.2592.7397.83
20092.0683.0610.4193.4798.04
20102.8681.2311.0992.3297.94

長野県進路希望状況
 長野県でも若干ながら私立シフトが見られる。いったん減った私立志願率が2009年以降盛り返している。進学希望率はほぼ横ばいである。なお、長野県の調査では県外志望者は国公立、私立の区別をしていないため表、グラフ中の数値には含まれていない(進学希望者総数には含まれる)。
5.愛知県(中学校卒業見込者の進学希望状況調査)
表5 愛知県
年次定時制通信制定通計全日制国公立全日制私立全日制進学希望者計
20051.190.191.3892.8373.7319.1095.03
20061.470.211.6892.6773.2919.3795.17
20071.460.291.7592.6172.4220.1995.26
20081.570.251.8292.7773.6419.1395.46
20091.720.362.0892.5174.1318.3895.47
20101.670.472.1492.3573.5618.7995.42

愛知県進路希望状況
 愛知県は他県と比べて進学希望者が少ないのが目立つ。ここでもやはり2010年になってから私立志願者増が見られる。また2007年までもやはり私立志願率は増えていた。愛知県も県外志望者は国公立、私立の区別がなされていないので県外志望者は含んでいない(ただし進学希望者総数には含まれる)。
6.総括
 どの都県でも定時制・通信制への進学希望率は増加傾向にある。しかしこれは必ずしも全日制からのシフトとばかりは言えず、進学希望者が増加して定時制・通信制への志願者が増加したものと見られる。肝心の経済的理由による私立高校退学者数との関連だが、退学者数とパラレルな動きを見出すことはできなかった。やはり無償化政策の効果によるものか。
参考表として各都県の進路希望状況の実数を示しておく。
参考表1 東京都(実数)
年次定時制通信制定通計全日制都立全日制都立外全日制進学希望者志望未定卒業予定者計
20051,9721752,14767,00450,08616,91870,7871,63672,654
20062,7571972,95467,27949,70817,57171,4551,22272,960
20072,4831772,66066,90950,01416,89570,9171,34872,447
20082,7692212,99067,36451,96315,40171,5781,22472,968
20092,9712333,20471,20155,01116,19075,5301,12576,929
20102,8992853,18467,87152,50215,36972,1861,13173,560
参考表2 神奈川県
年次定時制通信制定通計全日制国公立全日制私立全日制進学希望者計卒業予定者計
20016055261,13164,80657,0887,71865,93769,052
20024295711,00064,85057,0767,77465,85068,763
20036585871,24563,86756,4707,39765,11267,925
20048125641,37660,31353,1527,16161,68964,062
20059836111,59459,44052,1867,25461,03463,666
20061,0226851,70760,42353,1397,28462,13064,918
20079629271,88959,87352,6397,23461,76264,448
20089279511,87861,05854,3006,75862,93665,375
20091,2637622,02563,54956,9336,61665,57468,679
20101,2708852,15561,58055,2556,32563,73566,472
参考表3 栃木県(実数)
年次定時制通信制定通計全日制国公立全日制私立全日制進学希望者計卒業予定者計
20012424028222,70819,5653,14322,99023,707
20022044224622,42219,5182,90422,66823,317
20032343426821,61818,7452,87321,88622,487
20043504639620,18417,5682,61620,58021,097
20053755042519,63617,0882,54820,06120,535
20063686743519,57516,9512,62420,01020,465
20074416550618,74516,2202,52519,25119,672
20084755653118,53516,0522,48319,06619,479
20094378552218,94216,5372,40519,46419,833
20104908357318,13215,4572,67518,70519,021
参考表4 長野県(実数)
年次公立定時制公立全日制私立全日制全日制県外志願志願未定進学希望者計卒業予定者過年度生
200530918,1972,42920,62638623221,55321,967
200639718,0752,55520,63035518321,56521,81869
200746418,0712,30820,37935418721,38421,81638
200851417,5262,17719,70340316720,78721,24737
200946118,5532,32620,87939116821,89922,33735
201060917,2712,35819,62941717020,82521,26234
参考表5 愛知県(実数)
年次定時制通信制定通計全日制国公立全日制私立全日制県外進学希望者計卒業予定者
200581213394563,53850,46413,07455865,04168,445
20061,0111411,15263,61650,31713,29956465,33268,650
20071,0152031,21864,32050,29814,02262166,15969,449
20081,0931761,26964,61751,29313,32460266,48869,650
20091,2442641,50867,00553,69113,31463869,15172,431
20101,1833321,51565,25451,97813,27665667,42570,663

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