■2008年11月
ヘッドライン

■万引き事件処理、統計からみる実像

〔2010.1.4追記〕東村山市議異状死事案に関する資料を求めてこのブログへ来られた方へ
このブログには大したものはありません。詳細な資料をお求めの方は朝木明代市議万引き被疑事件・転落死事件 まとめWikiをご覧下さい。質・量ともにはるかに豊富な情報が掲載されています。

瀬戸弘幸氏のブログの東村山市議万引き事案についての記事のコメント欄でやれ指紋採取しなかったのは怪しいだの現行犯逮捕しないのも怪しいだの何だの言う議論がなされている。

とにもかくにも警察は万引きをどういうように処理しているのか、統計を概観してみることとする。
なお、今回使う数値の出典はつい先日警察庁が公表した「平成19年の犯罪」である。表番号も「平成19年の犯罪」のものである。

1.認知
平成19年中に警察が認知した万引き事件は14万1915件。
そのうちの9割以上にあたる13万0008件は被害者や被害関係者からの届け出が認知の端緒になっており、職務質問や取り調べなどの警察活動が認知の端緒となったのは6133件(認知件数全体の4.32%)にすぎない。
なお、一般人が現行犯逮捕を行って警察に連れてきた(常人逮捕同行)ことが認知の端緒となったものは1027件となっている。(以上、「8 窃盗 手口別 認知の端緒別 認知件数」による)

2.検挙
犯罪事実が確認でき、かつ、被疑者を検挙できた万引き事件は10万5299件、うち9万8495件は単独犯によるものである(「21 窃盗 手口別 成人・少年事件別 共犯形態別 検挙件数」)。
主たる被疑者特定の端緒が指紋や掌紋であったのは147件、そのほかの鑑識活動が被疑者特定の端緒となった事件を合わせても196件。万引き事件では鑑識が被疑者特定の端緒にはなりにくいということが言える。
なお、警察活動が被疑者特定の端緒にならなかった事件の数は6万3013件、全体の60%弱は警察活動が被疑者特定の端緒にならなかったことになる(「25 窃盗 手口別 主たる被疑者特定の端緒別 検挙件数(警察活動)」)。
一方、被害者や被害関係者、警備会社の協力が被疑者特定の端緒になった事件は9万1777件である(「27 窃盗 手口別 主たる被疑者特定の端緒別 検挙件数(民間協力等)」)。
なお、民間協力と警察活動では重複計上されている場合があることに留意されたい(刑法犯検挙情報票の書式には両者を記載するようになっている)。また、ほとんどの事件(10万0058件)では地域係が被疑者特定の端緒を得ている(「30 手口別「主な被疑者特定の端緒を端緒を得た係別 検挙件数」)。

3.被疑者の処遇
万引きで検挙された被疑者の数は10万2504人、そのうち9万1960人は最後まで身柄を拘束されないままに終わっている。以前も書いたのだが、万引き事件では逮捕される方が珍しい。
また、4万6220人は微罪処分、早い話が検察に送致すらされずに警察で始末書を書く程度で終わっている。(「32 窃盗 手口別 身柄措置別 送致別 検挙人員」)
なお、少年については少年法が全件送致主義を採っているために微罪処分の対象とはならない。少年の万引き犯は2万8161人であるから、警察段階で処理を終わらせることのできる万引き犯の6割までが実際に警察段階で処理を終わることになる。
彼ら(及び彼らを処理する警察)にとっては指紋採取も証拠収集も無縁の話である。

もっとも、万引き犯のほとんどは現場から逃走していないという事情はあるのだが(「34 窃盗 手口別 主たる被疑者の逃走時の交通手段別 検挙件数」)。

ここで東村山市議万引き事案について素朴な私見。
万引き犯の半数以上は始末書で終わる。ましてや問題の市議は初犯である(少なくとも警察が認知したものは)。
東村山警察署は最初に呼び出した時点では通り一遍の調書を取り、通り一遍の始末書を徴して終わらせる意向だったのではないだろうか。

あなたが警察官だったとして、通り一遍の始末書と通り一遍の調書で一件落着の事件に大々的に捜査態勢を組む気にになるだろうか?
ましてや、当時警視庁はオウム事件にてんやわんやだったわけだ。そんな中でたかが万引きの初犯。手早く半日程度で始末してしまおうと考えたのではないか。

ところが思いがけずに被疑者が対決姿勢を見せる。大慌てで本格的に捜査を始め、送検する。まさしく泥縄式だったのではないか。

ちなみに、この泥縄式捜査、被疑者が少年ともなると殺人事件にまで適用された実例があったりする(山形マット死事件。この事件はこじれにこじれて、最終的に民事訴訟で遺族と加害者の少年が最高裁まで争う結果になった。もちろん指紋採取など行われなかった)。

【以下、お知らせ】
警察庁より「平成19年の犯罪」が公表されたため、以下のエントリーに2007年の数値を追加しました。
1.少年の福祉を害する青少年条例違反の検挙状況及び被害児童数の年次推移
2.児童福祉法違反(淫行させる行為)の検挙状況及び被害児童数の年次推移
本当に児童ポルノ事件は増えているのか
スポンサーサイト

■「都議選に向けて創価は組織的に住民票を移動させている」と息巻く創価アンチの皆さんへ part2

新風界隈の皆様はどうやら排泄物で頭が一杯の模様で、彼らをウォッチしている方々もまたこのことに結構な反応をしている。そんな事を一切無視して(もっとも、柏警察署の警察官が書かされるであろう刑法犯認知情報票の犯罪供用物の欄に何と書くのか、私が情報公開制度により入手した刑法犯認知情報票の書式を見ながら失笑を禁じ得ないのではあるが。)、今回はこの記事の第2弾。
いまだに創価学会は都議選に向けて住民票を組織的に移動させていると息巻く方々が後を絶たない。
第1弾では目黒区の月ごとの住民票登録数から検証したのだが、よくよく東京都総務局統計部のサイトを探してみると「住民基本台帳人口移動報告」というズバリ住民票の移動状況がわかる統計があった。

それじゃあ見るべみるべ、年ごとの都内、区部、市部、及び目黒区の転入数を。

年次移動者総数左のうち他府県からの転入年次
都総数区部うち目黒区市部都総数区部うち目黒区市部
1996年873,484596,76424,100271,856431,466305,78111,417124,1031996年
1997年867,784592,89522,924270,123435,689308,19611,038125,8391997年
1998年868,280596,66922,708266,741440,146312,94410,877125,5691998年
1999年871,427598,31623,865268,162436,809309,72911,427125,5011999年
2000年882,973613,46224,346264,830444,118316,69111,338125,9282000年
2001年881,624614,54923,685262,635449,888321,65211,308126,8232001年
2002年867,552604,58223,837258,510442,947315,73011,561125,6902002年
2003年880,049609,99622,160265,920441,013313,84510,166125,8062003年
2004年868,469605,49622,369258,931433,278309,42710,337122,5672004年
2005年873,838622,40823,279246,900438,087318,82110,950117,8282005年
2006年867,214619,79424,535243,059437,535320,26511,570115,9332006年
2007年874,493628,06122,639242,351443,349325,15910,566116,7962007年
2008年841,280607,39321,865229,576425,661313,6199,956110,6972008年
出典:東京都総務局統計部「住民基本台帳人口移動報告」
注.なお、参照したのは「区市町村別他府県からの転入者数、都内間移動者数・その他の移動者数」という表であるが、移動者総数は「区市町村別、月別転入者数」という表の年間転入者総数と完全に一致している。


さて、データを一通り見ると、都議選執行の2005年に区部の転入数が増加したものの、その後も区部の転入数がほぼ同じ水準で推移していることを考えれば単純に都心回帰の現象の現れと思われる。
なお、念のために書いておくが、この統計は転入届の数を単純にカウントしたものである。
よって、短期間で転入転出を行ったような場合でもきちんと転入はカウントされている。

結論として、統計を見る限りは創価学会が組織的に当落を左右するほどの数の住民票を移動させているとは言えない。

…それにしてもなあ、創価信者が威勢良く反論しているのを見たのだが、どうせなんだから統計データにリンクくらいはしておくのが親切と言うものだろう(控えめな表現)。

テーマ:創価学会・公明党 - ジャンル:政治・経済

■市議が異状死した直後の聖教新聞を検証してみた【ごにょごにょ追記】

[2010.1.4追記]東村山市議異状死事案に関する資料を求めてこのブログへ来られた方へ
このブログには大したものはありません。詳細な資料をお求めの方は朝木明代市議万引き被疑事件・転落死事件 まとめWikiをご覧下さい。質・量ともにはるかに豊富な情報が掲載されています。

※〔〕内は2009/2/11に追記したものです。

2ちゃんねるの朝木明代さんを殺したのは創価だと聞いたのですが 2というスレッドで次のような書き込みを見た。

843 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/11/19(水) 16:28:33 ID:EO8Z//SV
事件の翌日に聖教で「自殺報道」していたからには、
「自殺事件工作」を創価が行った事は明白。
取り調べ室に行くのは当時の会長…

なるほど、一応はこうして疑われている以上、確かに東村山市議異状死事案発生直後の聖教新聞は検証してみる価値はありそうだ。
というわけで一気に検証に移ることとする。

聖教新聞がこの事案について第一報となる記事を掲載したのは異状死翌々日、1995年9月3日付けのものだ。
「万引き容疑、書類送検 東村山女性市議飛び降り自殺か 東京」という記事〔第10面。なお、この記事の画像をアップしたのでこの記事の「続きを読む」をクリックしてご覧下さい〕がそれである。
記事では東村山署の調べとして「六階建てビルの五階と六階の間の階段踊り場から飛び降り、自殺を図ったとみられる」としている。
確かに第一報から自殺とは怪しい気もしないでもない。

そこで三大紙の記事も読み比べて見ることにしよう。ただし、こちらはすべて縮刷版である。
朝日、読売、毎日いずれもこの事案について9月2日付けの夕刊で第一報となる記事を載せている。
○朝日
「万引き容疑、書類送検 東村山市議が転落?死亡」という見出しで東村山署は「自殺と事故の両面で調べている」としている。
なお、この記事では議席譲渡や万引き容疑で書類送検されたこと、さらには被害届を出した店主を名誉毀損で告訴していたことにも触れている。
〔第15面(社会面)、縮刷版109頁〕
○読売
「女性市議(東村山)が変死 当選長女が辞退で物議 6階ビルから転落?」という見出しで東村山署で「自殺、事故などの面から調べている」としている。
三大紙の中でもっとも詳細に報じており、異状死前後の状況についても詳しく報じている。
なお、議席譲渡や万引き容疑での書類送検に触れているのはもちろんのことながら、異状死した市議の自宅門柱に火がついた新聞紙の束が置かれていた事案、異状死した市議と同じグループで活動していた市議が暴行を受けたという事案についても触れている。
〔第11面(社会面)、縮刷版107頁〕
○毎日
見出しは「東村山市 女性市議が転落?死亡 4月に親娘当選 マンション6階から」というもの。東村山署は「自殺した可能性もあるとみている」としている。
こちらも読売ほどではないが朝日よりも詳細に報じており、議席譲渡や書類送検、さらには新聞紙放置事案についても触れている。ただし、同僚市議暴行事案については触れていない。
〔第8面(社会面)、縮刷版98頁〕

読売こそ犯罪性を若干臭わせてはいるものの、他紙は犯罪性があるような書き方をしていない。

翌3日の朝刊も見てみよう。聖教新聞が「自殺」と第一報となる記事を載せたのも3日である。
朝日は東京面〔第29面、縮刷版139頁〕で「朝木市議急死 同僚議員らに衝撃」という見出しで他党派の東村山市議や東村山市幹部のコメントを載せている。この記事は事実関係については一切触れておらず、もっぱら情緒に訴えるのみの記事となっている。
読売は社会面で「女性市議、自殺の可能性高い」という見出しで「同署は、「事件性は薄い」として朝木市議が自殺した可能性が高いとの見方を強めている」と報じている〔第31面、縮刷版139頁〕。
ただし、都民版〔第28面、縮刷版136頁〕では「東村山市議の転落死 「自殺するはずない」 警察判断に遺族側反論」という見出しの記事を載せている。
この記事では「遺族らは「本人は翌日、高知へ旅行する準備を進めていたのに、自殺するわけがない」と慎重な捜査を求めている」と書いてはいるものの、最後は「自殺したとの見方を強めている」と締めている。
毎日は社会面で司法解剖の結果死因が出血性ショックであったこと、また、同じ記事で通報者の証言として「店長が「飛び降りたんですか」と聞くと、否定したという。」と報じている〔第26面、縮刷版126頁〕。

地方紙に目を転じると北海道新聞が3日付け朝刊〔第31面〕で「自殺と事故死の両面で調べている」と犯罪性を完全に否定した書き方をしている。

こうして見ると、聖教新聞が3日朝の時点で「自殺を図ったとみられる」という書き方をしているのは限られた紙面と文字数の中ではむしろ自然であると言えるのではないだろうか。

この際なので東村山署が自殺との最終判断を発表したことを聖教新聞がどう報じたのか三大紙と比べながら見ておこう。

聖教新聞はこのことを1995年12月23日付けのもので「東村山市議の転落死問題 警視庁が「自殺」と最終結論 「学会が関与」とデマ宣伝したマスコミ、自民党議員 問われる重大な責任問題」という見出しで報じた。
記事では東村山署の発表として現場付近の状況から犯罪性は無かったと述るにとどまり、自殺の動機には一切触れていない。書類送検されたことは一応記述があるが。
これに続けて創価学会が関与したかのような質問を行った代議士や創価学会が関与したかのような記事を載せた雑誌を批判して記事を終えている〔第3面〕。
この記事は創価学会を中傷するデマを流した者を非難しつつも、死者について過度に詮索する事はしておらず、創価学会を擁護することとと故人への配慮をうまく両立させた、抑制の利いた記事として評価できる。

一方、三大紙の方であるが、三大紙はいずれも1995年12月22日付け夕刊でこのことを報じた。朝日は「元市議の転落死犯罪性なしと断定 東村山署」という見出しの記事で当日の現場の状況を記し「同署は「状況などから自殺と見られる」としている」と簡潔にまとめている〔第21面(社会面)、縮刷版1051頁〕。
毎日は「「市議の死は自殺」 東村山署が捜査を終結」という見出しの記事で当日の状況について説明する東村山署長の発表を詳しく記している。
これに続けて遺族や同僚議員らの主張に触れ、最後に異状死した市議の長女の談話を載せて記事を終えている〔第13面(社会面)、縮刷版853頁〕。
読売は「東村山市議の転落死は自殺」という記事で東村山署の発表として当日の状況の説明を載せ、「動機については、朝木さんが今年六月に市内の洋品店からTシャツを万引きしたとされた事件で、東京地検八王子支部に出頭を求められていたのを苦にしたのではないか、としている」と続けている〔第18面(社会面)、縮刷版1090頁〕。
そういえば「糞の根」グループのゼリ幸先生は「警察が「万引きを苦にしての自殺」などと公式に発表出来るはずもありません。」などと書いているが、まあこれはまともに裏を取ってない記述であると言うべきである。読売もまた異状死した市議の長女の談話で記事を締めている。

実際に記事を読み比べた印象としては、聖教新聞の記事は創価学会をこの事案に絡めて批判した代議士や週刊誌に対する非難が特徴的であるが、その他には三大紙とこれといった差異はない。

◆おまけ
なお、東村山署の捜査終結までに聖教新聞は次のような記事を掲載した。
○週刊誌編集人及び遺族らを刑事告訴したことを報じ、また、万引きや市議の死に創価学会の関与はないと記述した記事(1995年9月13日付け〔第2面〕)
○秋谷会長(当時)へのインタビュー記事として万引きは創価学会の陰謀によるでっち上げ、市議の死も創価学会の陰謀によるものだという説への反論(1995年9月21日付け〔第3面〕)
○週刊誌編集人などへの刑事告訴が受理されたことについての告訴代理人の談話。なお、この談話では事実無根の中傷をしたと述べているにとどまる(1995年9月26日付け〔第2面〕)。
○週刊誌編集人及び遺族を名誉毀損による損害賠償請求訴訟を提起したことを報じた記事。この記事では市議の死に創価学会が関与していないと述べているにとどまっている(1995年10月7日付け〔第2面〕)。

ここまで見てきた結論としては、東村山署の捜査終結までの聖教新聞ではゼリ幸先生が言うように「万引きを苦に自殺した」との説を積極的に宣伝したとは言えないんだな。

◆おまけその2
「民主主義汚染」を読んで、捜査終結を発表した当時の東村山署長が山田正治という名前だと言うことを知ってからもしやオウム施設への強制捜査の際に真っ先に信者を逮捕し、後に捜査一課長になった刑事部の理事官と同一人物ではないかと疑問に思っていたのだが、やっぱり同一人物のようだ。
1995年9月8日付け朝日新聞東京面に8日付の警視庁人事として同氏が刑事理事官から東村山署長へ異動したとの記述があった。まあこれはどうでもいいことであるが。
続きを読む >>

プロフィール

資料屋

Author:資料屋
ブログ名変えた(2011.4.24)。落ち着かないなあ。

月別アーカイブ

FC2カウンター

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム