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■人を生かすための大義が人を押しつぶすとき

 鹿砦社「カウンターと暴力の病理」をとある方からご献本いただく。ヲ茶会氏の手記のほかは斜め読み程度しかしていないところであるが、それでも書いておかなければと考えたことがあるのでつらつらと書いておく。
 レイシストに対する反対運動を行う団体、レイシストをしばき隊内部で暴行事件が起きた。本書は、その事件およびその事件に対する関係者の反応などを取りまとめたもので、事件の詳細は本書に譲る。
 私が一読して思ったこと。あとがきで松岡利康氏が「連合赤軍事件の再来ではないか」などと痛烈に批判しているが、私はもう少し違う感想を抱いた。そもそもレイシストをしばき隊は、在特会などのヘイトスピーチに対抗するために結成された団体だと私は認識している。そこには、生身の人間の痛みが確実に存在した。その生身の人間の痛みをなんとかしようと結成されたのがしばき隊であった。たしかに、大いなる成果をもたらしたことは否定できない。現実に新大久保からレイシストデモを排除した功績は十分に称えられてしかるべきである。ところが、その団体の内部で暴行事件が起きた。被害者という生身の人間は、まさに身をもって痛みを感じたわけである。ところが、しばき隊関係者はその生身の人間の痛みについに向き合おうとしていない。私は、ここに、生身の人間の都合のために作られただけのツールのはずの団体や大義が、生身の人間の痛みを押しつぶす疎外の構図を見て取る。もはや、生身の人間の痛みを感じることを捨て去ってしまい、ただ団体の存続、自分の無謬性を傷つけないことのみを目的として、行動しているように見える。あとがきで松岡利康氏は連合赤軍事件との共通点を指摘しているが、私はさらに相模原事件との共通点も指摘しておきたい。ご存知の通り、相模原事件の犯人は、社会経済の負担になる障碍者を殺害することによって社会経済の負担を軽くしようという動機で大量殺戮に走った。ここで振り返って考えてもらいたいのだけれど、そもそも社会経済なるものも、生身の人間の都合のために作られた道具でしかないのである。その本来の目的を完全に忘れ去って、相模原事件の犯人は生身の人間の都合を無視して殺戮に至っているわけである。ここに、生身の人間の都合のために作られた大義が生身の人間を押しつぶすという構図を見る。そして、それはしばき隊内部の暴行事件とその事後処理に共通している構図である。
 最近、私はこの手の構図を至る所で見ていて、その意味ではもう見慣れた構図ではある。ということは、アナタ自身も私自身も鹿砦社でさえも実は他人事ではないのである。生身の人間の都合のために作ったものを振りかざして、生身の人間の都合を無視する。マルクスはこれを疎外論としてまとめたところであるが、その疎外論が今もって役立つ状況が、それも左派の間から生まれているのは実に皮肉としか言いようがない。そのような状況に陥る落とし穴は、至る所にある。私たちも気をつけなければ簡単にその落とし穴に落ちてしまう。実は鹿砦社もその落とし穴に落ちていやしないかと思ったりもする。「カウンターと暴力の病理」の口絵、一部に誹謗的な表現が見られた。正当な批判はされるべきだが、「体臭がタバコ臭かったぞ」というのは誹謗であろう。このように、大義というものに一回コミットメントすると、その大義を必要とした「人間を生かす」という目的を往々にして忘れてしまうのだ。それは、どのような社会運動でさえもである。この構図に陥る危険性からは逃れられないのである。であるからこそ、この醜い現実をよく見て、他山の石としなければならないのである。
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■企業の過剰サービスと大阪府立高校の黒染め強要問題は、根っこは同じだ

 日本のサービス業の過剰サービス https://togetter.com/li/1166066 と大阪府立高校の黒染め強要問題は、根っこは同じだと思ってるですよ。労働者のプライバシーなどの人権を無視してこき使うだけこき使うために、学校で訓練していると。そんなことをやってるから日本の生活者はどんどん暮らしにくくなる。
 季刊労働法184号から186号に掲載された「労働者のプライバシー権の保護について フランスの現状と課題」(砂押以久子著)を日本の人が読んだら、ひっくり返るんじゃないの?フランス民法典には、何人も私生活を尊重することができるみたいな規定が盛り込まれている。日本の民法とは大違い。そもそも自由権に関する規定を民法典に盛り込むという発想が、日本にはないよね。これとは別に憲法にも規定があってね。
 憲法によって共和国政府に対して人権の尊重を義務付け、人権の尊重を義務付けられた共和国政府は法律で自由権を尊重せよと国民に命じる。なんとまあ人権に厚い国だこと。さすがフランス革命を起こした国。
「憲法の右各規定は、同法第三章のその他の自由権的基本権の保障規定と同じく、国または公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので、もつぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない。」「私人間の関係においても、相互の社会的力関係の相違から、一方が他方に優越し、事実上後者が前者の意思に服従せざるをえない場合があり、このような場合に私的自治の名の下に優位者の支配力を無制限に認めるときは、劣位者の自由や平等を著しく侵害または制限することとなるおそれがあることは否み難いが、そのためにこのような場合に限り憲法の基本権保障規定の適用ないしは類推適用を認めるべきであるとする見解もまた、採用することはできない。」「企業者は、かような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであつて、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもつて雇い入れるこ
とを拒んでも、それを当然に違法とすることはできないのである。」(昭和48年12月12日最高裁大法廷判決、民集第27巻11号1536頁)などという判例が生きている日本国とは大違い。

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■元々の髪の色を染めるように強要する学校の姿って、企業社会の写し鏡だよね

 「黒染め強要で不登校」生まれつき茶髪の女子高生が提訴:朝日新聞デジタルを読んで一言。何が何でも日本人なら黒い髪であるべきだ、などと、やたら「身だしなみ」などのプライバシーに干渉する日本の企業社会の写し鏡そのものだよね。
 季刊労働法184号から186号に掲載された「労働者のプライバシー権の保護について フランスの現状と課題」(砂押以久子著)を読んだら、たぶん日本の企業関係者も含めてみんなひっくり返るんじゃないだろうか。イスラム教徒の衣服やひげは解雇の理由として正当ではないとか、はたまた労働監督官が労働者への所持品検査につき「労働者の個人所有の物品には適用されない」と就業規則を改めろと命令し、それに従わなかった使用者を有罪とした判決を破毀院は支持したとかね。コンセイユ・デタが労働者への所持品検査について。「労働者の持ち出す物品に関する企業による検査は、就業規則が次の事項を明確にしている場合にのみ法律上定めることができる。第一に、必要性がある場合、とりわけ原材料の滅失が結果したことがある場合または盗難の特別な危険が存在する場合、第二に、労働者がかかる点検に異議を申し立てる権利、立会人の出席を求める権利を有し、第三に、かかる点検が個人の尊厳と内心を保護する条件のもとに行われることを明確にしている場合である」と。
 日本の小売業界だと、割と気軽に労働者への所持品検査が行われていることを考えると、フランスのこの判決を読んだら驚くんではなかろうかね。中には所持金検査まで行うわ、ポケットの中の物すべてを検査するとか、割とやりたい放題になっている様子であるからね。
 とまあ、彼我の違いを嘆いてもしょうがない。日本は残念ながら人権後進国なのである。

■そもそもですね、冤罪を絶無にすることは原理上不可能なんですよ

 相変わらず痴漢冤罪をなんとかしろと一部で大合唱が続いている。こういう人って、でも他の犯罪では冤罪とかこれっぽっちも考えないんだから嫌になる。そもそも、神ならぬ人間が裁く以上、冤罪の発生は絶対に避けられないんですわ。統計でいう所の第一種過誤と第二種過誤ってやつですな。だれがどう見ても有罪だろうという事件はそうそうめったになく、そこは裁判官(と裁判員)の感覚で裁くしかないわけだ。冤罪を防ごうとして事実認定を厳しくしたら、それこそ有罪判決を下せる事件などなくなり、「刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現する」ことはできなくなる。極端な話、冤罪を防止するだけなら全員に無罪判決を下せばいいのである。どのような事件でさえも冤罪の可能性は否定できないわけだから。そんなの、いやでしょう。だからこそ裁判官と裁判員のさじ加減で刑事司法は運用されている。もちろん、適正な証拠収集の方法など改善すべき点はあるにはあるが、いくら証拠収集の方法を改善しようともそもそも原理的に冤罪は避けえないのである。参考になる最高裁判例を示しておく。

 元来訴訟上の証明は、自然科学者の用いるような実験に基くいわゆる論理的証明ではなくして、いわゆる歴史的証明である。論理的証明は「真実」そのものを目標とするに反し、歴史的証明は「真実の高度な蓋然性」をもつて満足する。言いかえれば、通常人なら誰でも疑を差挾まない程度に真実らしいとの確信を得ることで証明ができたとするものである。だから論理的証明に対しては当時の科学の水準においては反証というものを容れる余地は存在し得ないが、歴史的証明である訴訟上の証明に対しては通常反証の余地が残されている。

(1948年8月5日、最高裁第一小法廷判決、刑集第2巻9号1123頁)
 訴訟上の証明については通常反証の余地が残されている、これすなわち冤罪である可能性を否定できないということである。では、あなたは、訴訟上の証明について通常反証の余地が残されているからと、刑事被告人全員に無罪判決を下せと主張するだろうか?そんなことはないよね。
 もし仮に真犯人に無罪判決を下して、その真犯人が後日凶悪犯罪を犯そうものなら、週刊新潮あたりに「無罪病裁判官と人権派弁護士が野放しにした」(http://dl.ndl.go.jp/titleThumb/info:ndljp/pid/3378924)などと袋叩きにされるの必定。こんな現状で痴漢だけ冤罪対策をと言われても、今一つ決め手に欠けるわけである。

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■AV出演者がたとえ事業者だとしても、団体協約を結ぶことはできるはずだよね

 ビジネス・レーバー・トレンド2017年8・9月号に掲載された濱口圭一郎氏の入れ知恵。
 たとえAV出演者が労働組合法上労働者と認められないにしても、中小企業等協同組合法が定める中小企業には当てはまるので、事業者として団体協約を締結することができるはずだよね。以下、関係条文を引用しておく。

中小企業等協同組合法
(組合員の資格等)
第八条第3項 事業協同小組合の組合員たる資格を有する者は、組合の地区内において主として自己の勤労によつて商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う事業者であつて、おおむね常時使用する従業員の数が五人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については二人)を超えないもので定款で定めるものとする。

(事業協同組合及び事業協同小組合)
第九条の二 
第1項 事業協同組合及び事業協同小組合は、次の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 生産、加工、販売、購買、保管、運送、検査その他組合員の事業に関する共同事業
二 組合員に対する事業資金の貸付け(手形の割引を含む。)及び組合員のためにするその借入れ
三 組合員の福利厚生に関する事業
四 組合員の事業に関する経営及び技術の改善向上又は組合事業に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供に関する事業
五 組合員の新たな事業の分野への進出の円滑化を図るための新商品若しくは新技術の研究開発又は需要の開拓に関する事業
六 組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
七 前各号の事業に附帯する事業

 明白に、事業者であっても協同組合を設立することができ、その協同組合が団体協約を締結することができるとはっきり定めている。

 川奈まり子氏の「表現者ネットワーク(AVAN)」は一般社団法人というかたちをとっているけれども、中小企業等協同組合法に基づく事業協同小組合という形態に変更するのも一手ではないか。一般社団法人としてどこまで働く人の保護ができるのか、私は大いに疑問である。

【2017.10.1追記】
 さらに中小企業等協同組合法上の団体交渉応諾義務: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)を読んでいると、中小企業等協同組合法第九条の二にはこんな条文も用意されている。

12 事業協同組合又は事業協同小組合の組合員と取引関係がある事業者(小規模の事業者を除く。)は、その取引条件について事業協同組合又は事業協同小組合の代表者(これらの組合が会員となつている協同組合連合会の代表者を含む。)が政令の定めるところにより団体協約を締結するため交渉をしたい旨を申し出たときは、誠意をもつてその交渉に応ずるものとする。
13 第一項第六号の団体協約は、あらかじめ総会の承認を得て、同号の団体協約であることを明記した書面をもつてすることによつて、その効力を生ずる。
14 第一項第六号の団体協約は、直接に組合員に対してその効力を生ずる。
15 組合員の締結する契約であつて、その内容が第一項第六号の団体協約に定める基準に違反するものについては、その基準に違反する契約の部分は、その基準によつて契約したものとみなす。

 労働組合法の定める団体交渉義務に近い規定がちゃんと置かれている。これで、AV俳優が事業者だと認めるとしても、少なくとも団体協約を締結することができることは判明した。AV俳優が多数協同組合に結集すれば、これは相当の交渉力になりうる。
 川奈まり子氏はなぜ一般社団法人という形態にこだわったのだろうか。あるいは単純に団体協約を締結することができる中小企業等協同組合というものを知らないから一般社団法人としたのだろうか。ますます疑問である。

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ブログ名変えた(2011.4.24)。落ち着かないなあ。

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